コンテンツへスキップ

病院のサービス改善に驚いた

バラを育てていると、手に生傷が絶えません。大抵は、痛い!!で済むのですが、時には棘が刺さってしまうことがあって、取るのに苦労します。

先日刺した棘は、その中でも最悪のもので、爪の脇から爪の下に入り込み、どうやっても取れません。ま、そのうちに出るだろうなどとタカをくくっていたら、指先がはれ上がり、膿まで出る始末、棘を刺したのが右手人差し指ということもあって、マウスを左クリックするたびに激痛が走ります。これはどうしようもないと、近所の病院に行きました。

この病院の外科、以前一度、お世話になったのですが、中に一人、最悪の医者がいました。何しろ態度が悪い。この医者の精神状態、果たしてまともなんだろうかと、私は疑いましたね。何しろ、白衣の背中に、大きな青い文字で「東京大学」と書いてあるんですからね。

どう考えても普通じゃない。

多分、この人、東大医学部の人で、アルバイトに来ているんでしょう。で、「俺は東大だぞ」と言わんがために、そんな白衣を着ているんでしょうね。でも、こいつ、医者としては最低です。だから、この人の存在が雄弁に語るのは、「東大医学部は最低だ」ということなんですねえ。ひょっとして、東大医学部の評判を落とすための陰謀かもしれない、とも思ったんですが、まさかねえ。

ところが、今回は、前回とは打って変わって、受付から医者にいたるまで「お客様は神様です」という態度に満ち溢れています。

一体どうなってしまったんでしょうか。

まあ、その背景を病院にきくわけにもいきませんから、自分でつらつらと考えてみました。

最近のニュースで、病院経営も大変だという話を聞きます。保険の自己負担が増えたり、不景気だったりして、病院に来る人が少なくなったんですね。で、経営危機に陥る病院も少なくない。病院としては、当然、利益の改善を考えなくちゃいけないんですが、昔みたいに、薬で儲けることも難しくなっていますし、検査漬けも難しい、そうなると、顧客満足度を上げて、大勢のお客さんに来てもらうしかないんですね。

なるほど、病院の経営問題は、患者にとって、好ましいことなんですねえ。そういえば、銀行のサービスも、最近、随分と良くなりましたけど、これも金融危機と無関係ではないでしょう。経営の危機は、企業のあり方を見直して、より良い企業へと自分自身を変えていく、好機でもあるんですね。

自動車、電機産業といえば、現在の日本の強い産業の代表的で、世界中に輸出されていますけど、昭和六十年ごろ、これらの産業は、日本から消えうせてしまうのではないかと心配された時期がありました。それは、貿易の自由化で、それ以前、自動車や電化製品の輸入を制限して国内産業を保護していたのに対し、昭和六十年頃を境に、これらの製品の輸入を自由にするということに、制度が変わったんですね。

電機、自動車といえば、今でこそ、日本企業は世界を相手に競争しているんですけど、当時の日本の企業は、弱小で、GM、GEといった、米国の巨大企業とは、とても競争にはなるまいと心配されたものです。

しかし、危機に際して、これらの企業はさまざまな手を打ったんですね。品質は世界一になったし、技術も世界のトップレベルにしたし、コストも非常に低くなった。その挙句に、日本式の生産方式が世界のお手本になるようになってしまったんですよ。

病院のサービス改善も、ひょっとすると、そのような大きな流れにつながるかもしれない。日本の銀行も、本気で、この危機に立ち向かえば、いずれ世界がお手本とするような組織になるかもしれない。

危機というのは、裏を返せば、将来の飛躍に向けての、大きなチャンスであるのかもしれません。そういえば、砂の惑星というSFに、「厳しい環境が強い兵士を育てる」なんて記述もありました。つまり、そういうことだ。べつに、この話、新たな発見でもなんでもないんですね。裏を返せば、温室育ちが、弱い人や組織の代名詞になっているくらいですからねえ。