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身近な凶器、の恐怖 (続、小学生殺人のなぜ)

昨日に引き続き、小学生殺人事件の考察を続けます。これ、大問題だしね。その後明らかになったことは、テレビのミステリードラマで、カッターナイフでヒトを殺すシーンを見て、その真似をしたと。

この話を聞いて、はるか昔、私が少年時代に受けた衝撃を思い出しました。それは、やはりテレビなんですけど、ハサミでヒトを殺す、という物語だったんですね。これまでハサミでヒトを殺すことなんか、想像だにしなかった私は、その話を聞いてちょっとショックを受けたのですね。

このショック、後で考えれば、ハサミは日常使うもの。それまでのテレビでの殺人、毒薬やら、刀やら、ピストルなど、ちょっと手に入りそうにない道具が使われている。私の日常からかけ離れた話なんですね。

だから、自分の生活に、ヒトを殺す、なんてシチュエーション、思いつきません。でも、ハサミは違いますね。こんなものでヒトを殺せるものならば、私だって、いつでも人殺しが出来てしまう。これ、ちょっと恐ろしい状況です。

カッターも、子供たちの日常使う道具、コレを殺人の道具に使っちゃいけません。そんなドラマを子供に見せちゃいけないんですね。コレを見る前後の大きな変化、他所の世界の話であった殺人が、自分にも出来る、現実の世界の話になるわけですから。

このドラマの更に悪いことは、ハサミで人を殺すのが、多分、難しいのに対し、カッターナイフだと、いとも簡単に出来てしまう。そんなノウハウまで教えちゃった。

そういえば、包丁、なんてのも身近な凶器、コレも良く出てきますねえ。こういうケース、できれば、スーパーで買った安直な包丁などではなく、どこぞの銘入りの柳刃包丁くらいにして欲しい。少なくとも、人一人を殺そう等という、一大事業をするからには、道具立てにも凝ってもらいたいもの。そうすれば、このお話、現実世界のお話ではなくて、他所の世界の話になる。

まあ、あまり凝りすぎると、現実感のない、面白くもないミステリーになるわけで、そのあたりの騙し方が、作者、演出家の腕の見せ所。ストーリーや設定が現実離れしている割に、細かい所がやけにリアル、なんて、安直な物語が、近頃のテレビにゃ、多すぎますね。

ところでカッターナイフなんですけど、これ、ちょっと問題のある製品ですね。コレ、少しずつ刃を出して使うのが本来の使い方、だけど、刃を長く出すことも出来てしまう。安全性に問題のある製品です。

例えば5ミリ以上に刃が出ないようにする構造は取り得ないものでしょうか。刃のない先端部分にストッパーを付ければ、刃の出る長さを制限できますね。つまり、刃先だけ見えるキャップをナイフの先端に付けとくわけね。で、こいつが横に曲がるような仕掛けにすれば、刃を折る操作も出来そうです。

それ以外にも、カッターを安全にする工夫はいくらでもありますね。例えば、刃自体にカバーをつけておく。刃を折って初めて次の刃の部分のカバーが取れるわけね。あるいは、刃を長く引き出したときは、安全カバーが出てしまうとか、究極の方法として、最初から短い刃を使う、なんてのもアリ。シャーペンのように、カチカチやると新しい刃が出てくる構造も出来るでしょうし、今の形状に拘るなら、短い刃をふにゃふにゃの、樹脂素材でつなげておいても良い。

まあ、こんなことを書き出すときりがないのですが、要は、やる気の問題、安全なカッターを作ろうと思えば、いくらでも道はあるはずなのですね。

子供が簡単にヒトを殺せる道具を世に氾濫させること、製造者の責任だってあります。それが安全性に問題があるものだとすると、賠償責任を問われるかもしれない。PL法、なんてのもあるし、、、

カッターのメーカの方たちも、こういう事件、他人事だと思って欲しくない。仕事には緊張感が必要だし、こういう事件には、危機感を持たなくてはいけませんね。