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優秀な経営者と、そうではない経営者

昨日取り上げた自動車会社、違いは経営者の質の問題、なんて書きましたけど、どのような経営者が優れているのか、そんな点について、少し考察をしてみましょう。

ま、私コレまでに、いくつかの会社を詳しく見る機会があったのですが、ココでお話しするのは、具体的な特定の企業ではなく、一般論ということで、、、

まず、優秀な経営者は、企業利益を第一に考えて判断します。こんなことは、アタリマエと思われるかもしれませんが、そうではないヒトが多い。

そうではないヒトは、自分の利益、保身を第一に考えます。だから、他の優秀なヒトを追い出しに掛かる。優秀なヒトの働く目的は自己の実現、だから、上役の目が冷たければ、他に道を求めることになります。ま、優秀なヒトなら、無能な上司の下で我慢することもありませんからね。駄目なトップを抱いた組織、駄目状態からの脱出は、容易なことではありません。

優秀な経営者はトップダウンです。トップ自らが、明確な目標を掲げ、それに責任を持つと公言します。良く知られた例は日産のゴーンさん、でも、そのほかの優秀な経営者もみな同じです。

実際、組織はトップダウンで動いているのですね。そして、責任はトップにある。しかし、社内的に責任を取りたくないヒトは、言質を取られることを恐れる。抽象的な目標を掲げ、どうとでも取れるような方針を口にするのですね。それをやられると下の者は困る。自分の責任で上司のハラを読むわけですね。しかし、読んだ上司のハラの内、コレを部下に伝えることも出来ませんから、結局、よく判らない、抽象的な方針を下に伝えるわけでして、その部下もまたハラを読むと、、、ま、伝言ゲームのような伝達がなされるのですね。

成果主義が流行ですけど、こんなやり方で成果主義をやっても、形だけ、なんですね。

もう一つは、トップダウンを明確に打ち出す代わりに、トップはボトムを把握する、事業の最前線で何が起こっているかを、優れた経営者は良く理解しているのですね。これ、ある意味では、ボトムアップなんですね。つまり、最前線の情報、伝えるのはボトムですから。生産、開発、営業の最前線の生きた情報、刻々とトップに伝わるから、間違いのない判断が出来る。それが出来るのは、トップが最前線に出向いて議論をしているから、最前線のヒトの話を、理解できるだけのアタマがあるから、なんですね。

で、駄目なトップは、ほとんどの時間を本社の最上階で過ごします。ま、こういうヒト達には、取り巻きのヒト達がいて、適度にフィルタリングした情報をトップに伝える。正しい判断、できるわけがありません。

駄目な組織は詳細な情報がトップに伝わらない、だからバルクで管理する。つまり、事業部が儲けていれば、その事業部は勝手にやって良しと、で、赤字の事業部を責めればよい。ま、馬鹿でも出来るやり方です。

しかし、儲けている事業部、その理由は、たまたまあたっただけの話で、その内部には、駄目な分野を多数抱えているかもしれない。赤字の事業部も、将来大きく伸びるビジネスを内部に抱えているかもしれない。現在の利益、過去の結果に過ぎません。経営判断は未来に対して行うもの。事業戦略というのは、事業部の中の、個々のビジネスや研究開発を長期的な企業の発展の中に位置付けていくこと、コレが出来るかどうかで、企業の将来は決まってしまうのですね。ま、それが出来たかどうか、見分けは簡単。今の経営状況から、過去の経営の質もわかろうというものです。

優れた組織とそうでない組織を詳しく見ると、その差は歴然、結局のところ、トップが責任を持って、ディシジョンを明確に下に伝え、その前提として、最前線の状況を十分に把握する、そんな組織が強い組織、そうではない組織は、自己の利益を追求する保身が第一、責任は負わない、言質をとられそうな明確な方針は明らかにしない、最前線とは一線を劃す、ま、こんな違いがあった日には、学問的研究の対象にはなりそうもないですね。