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脳科学の進歩と倫理の問題

土曜日のNHKスペシャル(リンク切れ)は、サイボーグ技術が人類を変えると題しまして、最近の脳科学の応用面での進歩を立花隆氏がレポートしていました。で、最後に倫理問題に言及です。(このリンク、最新の番組に張られていますね。これではじきに参照ができなくなってしまいます。NHKには、もう少し、番組とネットの融合に配慮していただきたいものです)(追記:アーカイブはここ(こちらもリンク切れ)です。こういうリンクの張り方も少々問題ですが、仕方ありません。)

このブログ、ニューロンとワイヤーの狭間からなどと題しておりますだけに、この手の話題、無視することはできません。そこで、番組で紹介されていた、この技術の具体例をいくつか取り上げて、ここで議論することにいたしましょう。

まず、脳の信号を利用して義手を動かす、という話題。これは良い話だと思いましたね。まあ、頭にコネクタを取り付けるのはちょっと乱暴ですが、これはいずれ、無線式など生体に優しい技術となるのでしょう。

更に、計算機に接続する、と。まあ、計算機の入出力を、脳神経から直接制御することができれば、私が今しているように、キーボードをかちゃかちゃ操作する必要もなく、ディスプレーも不要。脳とPCのインターフェース装置は、デイトレーダなどには必須のアイテムとなるかもしれません。

脳内に小さなチップを埋め込み、ポケットの携帯端末とワイヤレスで結ぶ。これだけで、経済ニュースから相場の情報まで、全てが脳内に直接伝達される。そして、買い、と強く念じると、それが証券会社に直ちに送られて約定する、というわけですね。こんな装置、持つと持たぬとでは大違い。相場に関わる人、これを使わなくちゃ、失業、ですよ、、、

そうそう、ファイルも扱えるわけですから、記憶も無限。暗記物、計算物の試験は意味を失ってしまいます。あ、IP電話も使えるわけで、念話も実用化。すごい世界になりますね。こんな技術が普及した時代には、全ての人が無限大の記憶力と、計算能力、コミュニケーション能力、そして、世界の情報(Web)にアクセスする能力を手に入れるわけです。ふうむ、、、

しかしこれ、大丈夫でしょうかね。脳をPCに接続された人、さしあたり、しつこい宣伝に悩まされることは必定。そのうちに、ウイルスに犯されたりする、なんてことも。人間の脳、リセットすることも、OSを入れ直すことも難しいですから、間違いがあると大変なことになります。この技術、倫理的な問題はないにしても、実用化には注意が必要ですね。(このパラグラフ、半分皮肉ですので、文字通り受け取らないようお願いします。)

その次にでてきた、脳に埋め込んだ電極から刺激を与えることで、右にも左にも自由にコントロールできます。で、ちゃんと働くと、電極から快感を与える、と、、、これはちょっとまずいですね。まあ、鼠だから良かろう、などという考えなのかも知れませんが、これは自然に対する冒涜、と言っても良いでしょう。

この電極も、いずれは無線式になり、外見からは普通の鼠と区別がつかなくなるのでしょう。で、そいつが誰かのスパイだ、などということになりますと、少々問題です。だって鼠、普通の家の屋根裏にも進入可能。プライバシーの侵害、簡単にできてしまいます。

それにしても、脳に電極を埋め込み、快感を刺激する、という話、これは独立に使えそう。たとえば、PCと脳をダイレクトに接続する場合も、高級機種は快感刺激機能付き、とか。

まあしかし、これはこれで問題かもしれません。PCの前に座って、恍惚感に浸るなんて、ちょっとおぞましい光景ですね。まあ、オナニーのようなものかもしれませんが、この装置は、麻薬と同様、禁止しなくちゃいけないのではないでしょうか。癖になりそう、、、

しかしこの技術開発を通じて、一番、胡散臭いのは、それが軍事技術として開発されているということです。究極の目的は、兵士の身体機能を高めるため。そんな目的の為に人体を改造するなんてことは、これは許されるのでしょうか?

中絶も禁止しよう、進化論も教えちゃいかんと言うキリスト教右派の支えるブッシュのアメリカ、その一政府機関がこんなことをしている。なんか、非常な矛盾を感じますね。

それに、この手の技術、先進国では社会的な反対があって実用化は難しいはずでも、技術は世界に流れるもの。おそらく、真っ先に実用化するのは、独裁国家じゃないでしょうか。そんなことになりますと、この技術開発、完全に裏目に出ることに、、、

ここは早急に倫理面での検討を進め、世界全体での合意を得なくちゃいけませんね。

それにしても、海馬をスライスして海馬チップを作ると言う話、私がホームページに置いている実験小説「レイヤ7」と同様のアイデアです。この小説、3年前に書いたのですが、最近の技術の流れ、脳の話に止まらず、この小説の方向に動いている様子です。

もう少し暇ができたら、この話、書き直してみましょうかね。そのときは、最近の変化を入れて、更に5年先あたりを見通してみたい、などと考えております。

まあ、いつになるかわかりませんが、お楽しみに。