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石田衣良著「波のうえの魔術師」を読む

本日読みました本は、石田衣良氏のミステリー「波のうえの魔術師」です。

この本、ミステリーというよりは、肩の凝らない相場がらみの小説なのですが、ミステリーと銘打たれてしまった以上は、ネタばらしはご法度。内容のご紹介も、ちと難しい、ということになります。

問題になりそうもない範囲でご紹介いたしますと、就職浪人の青年が相場師に雇われて手助けをする、それも少々やばい橋を渡る、というお話なのでして、何が面白いかといいますと、この相場師が青年を鍛えるくだり。その内容は、相場に関わる人、特に初心者には非常に参考になるのではないか、と思います。

ま、本筋のストーリーは、ふつうの人ができるようなお話でもなく、エンタテイメントと割り切っていただければよいのですが、相場の張り方に関しましては、お役立ちの一冊かもしれません。

このとおりやりまして、果たして本当に利益が上がるものかどうか、そのあたりは少々確信が持てないのですが、いくつかの基本的な部分では参考になるでしょう。気のついたところをいくつかあげますと、次のようになります。

・日々の値動きをチェックして、パターンをつかむ。
・いちどきに資金を動かさず、小口に分けて買い進む。
・値動きを見切って張る(ボックストレード)。思惑が外れたら損切りを躊躇しない。
・そして何よりも、自分自身の心の弱さに打ち勝つ(狼狽せず、冷静さを保つ)

この相場師の基本戦略は、逆張りの中期商いでして、私の手法に近いやり方です。この手法は、ファンダメンタルさえ正しく読めれば、比較的、素人にも勝ち目のある手法であると考えております。

一般的には、投資戦略には、短期の順張りと中長期の逆張りという二つのアプローチがありまして、順張り戦略は、値の上げている銘柄に投資するやりかた、逆張り戦略は安値をつけております銘柄に投資するやり方です。

ここ2~3年の個人投資の増加につきましては、デイトレーディングに代表されます短期取引が注目されておりまして、順張りを基本とするのですが、意図的な仕掛けに弱い、という問題があります。

つまり、先物を大量に売る、などの仕掛けがなされますと、順張りでは下げに対応して売ることになるのですが、すぐに先物の手仕舞いがありますと、結局安値で売って高く買い戻すこととなります。

また、順張りの投資家が多い場合、売りが売りを呼び、買いが買いを呼ぶ効果がありまして、意図的な仕掛けに市場が反応しやすくなります。

ここ1年ほどの東京市場では、こうした動きがあったのではなかろうか、と私は憶測しておりまして、その結果、個人投資家がファンドに食い物にされ、相場は不安定な値動きとなっているのではないか、と考えているのですね。

これが事実であるといたしますと、個人の投資戦略は、逆張りの中期投資に切り替える必要があります。つまり、安値で買って、高値で売る。そのスパンは数週間から数ヶ月の中期取引、というわけですね。逆張り戦略の投資家にとりましては、売り崩しや株価の吊り上げは願ってもない好機。意図的な操作をする者がおりましても、その資金の一部は逆張り投資家の懐に流れ込んでくることになります。

と、いうわけで、そろそろわが国の個人投資家も、短期から中長期へと、戦略を切り替えるべき時期にきているのではないか、と私は思う次第です。これは少々脱線したお話ではあるのですが、、、

それにしても、同書にあります、日々の値動きのチェックが基本との点に関しましては、このブログがまさに行っていること。なんとなく嬉しくなりますね。内容のご紹介ができませんと、奥歯に物が挟まったような書き方しかできないのですが、、、

あ、それと、相場の張り方に関しては、参考にするのが良いと思いますが、それ以外の部分、すなわち、ミステリーの構成要因であります犯罪行為に関しましては、くれぐれも真似をされないように、お願いいたします。