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続々々々「涼宮ハルヒの驚愕」を読む

さて、延々と続けてまいりました、偽者版「涼宮ハルヒの驚愕」ですが、そろそろ最終回となりそうです。

前回までのところでは、ハルヒの閉鎖空間に侵入してエネルギーを転送せんとする周防、橘に対し、古泉と喜緑はこれを妨害すべく、戦いが繰り広げられた、というところまでお話いたしました。今回は、この続きを、手短に述べてまいりたいと思います。

と、いうわけで、この戦いは、あっさりと終わらせてしまいましょう。いかなる展開か、といいますと、、、

緑色の玉にも援軍が現れ、神人の周囲で空中戦が展開されます。一方、赤い玉に攻撃能力がないと悟った周防は、攻撃を喜緑さんに集中。防戦一方の喜緑さんは周防にじりじりと押されます。

そのとき、神人の手が一閃、周防を叩き潰します。鈍い、嫌な音が閉鎖空間に響き渡ります。

周防:ぶちっ

これをみた緑の玉は、いずこかへ消え去ります。一方、古泉と喜緑さんも、キョンの待つビルの屋上へと戻ってまいります。

キョン:あれはいったい、どうしたことか。ハルヒはまるでゴキブリをつぶすように周防九曜をつぶしてしまったぞ。そんなヤワなやつだったのか、あいつは? 長戸にも匹敵する力を持っていたんじゃないのか?
古泉:周防、すなわち天蓋領域の能力は強大です。しかしここでは、涼宮さんに敵う相手ではなかった、ということでしょう
喜緑:天蓋領域の力は、少なくとも、私以上でした
古泉:敵勢力がどうなったか、わかりますか?
喜緑:天蓋領域は、この世界から完全に消滅しました。この閉鎖空間には、他の閉鎖空間と連結部があります。連結部は、現在急速に収縮中です。橘京子他数名の存在が、向こう側の閉鎖空間内部に認められます
古泉:ははーん、それでわかりました
キョン:なにが?
古泉:橘京子は、佐々木さんの閉鎖空間に周防九曜を連れ込み、涼宮さんの閉鎖空間との間に連結部を作ったんですね。ここから涼宮さんの閉鎖空間に入り込み、神人を呼び出してこれを捕え、涼宮さんのエネルギーを佐々木さんの世界に転送する、と。そういうねらいだったのでしょう。危ないところでした

キョンの語り:危ない、ねえ。しかし、どういうふうに危なかったんだろう。すべてが終わった今となってみれば、大騒ぎした挙句、ゴキブリ一匹をたたきつぶしたような感じがしないこともない。神人がやったあれは、まさしく、ゴキブリをつぶした程度のことに過ぎない。俺たちは大慌てをしたわけだが、これがそれほど驚くべきことであったのだろうか? 彼らの試みが成功した場合、いったいどういうことになったんだ?
古泉:それはもう、驚くべきことになっていたと思いますよ。われわれのすべてが失われる、といっても過言ではないでしょう。あなたは以前、涼宮さんが普通の女子高生になるという事件に遭遇されたといっていましたね。それがまさに起こる、というわけです。涼宮さんは何の力ももたない、普通の女子高生になり、たぶん僕の超能力も失われるのでしょう
キョン:で、佐々木さんがハルヒの代わりを務める、と。そういうわけか。それはそれで悪くない世界のようにも思えるが
古泉:その場合、未来はこれまでの世界の未来とは異なったものになります。過去が改変された以上、未来も変わらざるを得ません。そうなれば、朝比奈さんが元いた世界に戻れるという保証はありません。涼宮さんに関心を抱いていた情報統合思念体も、涼宮さんが力を失った世界に関心をもちつづけるとも思われませんから、長門さんや喜緑さんも、この世界にいつづける意味を失います
キョン:そして、あのいけ好かない未来人が再登場、というわけか
古泉:その可能性は十分にありました。あの少年がもう一度襲われ、その試みは、おそらく成功したでしょう。それ以外にも、天蓋領域の力がどのように使われるか、考えるだけでも恐ろしい話です
キョン:つまり、恐ろしく危ないところであった、ということか
古泉:はい、そのとおりです。そしてその危機は去った、というわけです。涼宮さんのおかげでね

キョンの語り:週末が過ぎれば月曜日だ。週末に惰眠をむさぼっていた高校生が憂鬱になるのは当然の報いだが、週末を通して駆けずり回っていた俺たちは、肉体的、精神的疲労がピークに達した状態で、再び未来永劫山の上に石を持ち上げ続ける、あのシーシュボスの神話のように、いくら勉強してもさっぱり成績が上がらない授業を受けつづけることとなるのだ。

キョンの語り:そんな俺たちを尻目に絶好調で俺たちの前に姿をあらわすだろう、と予想されたハルヒだが、なぜか疲れきったようすで教室に現れた。どうしたんだ? 土曜日は大活躍だったじゃないか
ハルヒ:土曜日のあれは良いのよ。でもやはり、ああいうことは私には向かないんでしょうね。次の日、悪夢を見たのよ。今でもありありと覚えているわ
キョン:ふーん、でも夢なら良いではないか。夢判断でもしてやろうか
ハルヒ:夢の意味なんて私にだってわかりきっているわ。でも悪夢なのよ、悪夢。それが問題
キョン:で、どんな夢なんだ
ハルヒ:私が紐で縛られているのよ。やったのは、あなたの友達と一緒にいた人。横で喜緑さんがキャーキャーいって怯えているんだけど、体が動かないから助けにいけないじゃない。で、古泉君が紐を切ってくれたわけ。体が動くようになったので、喜緑さんがなんに怯えているのかとみたら、大きなゴキブリが一匹いるのよね。で、新聞紙を丸めてそれを叩き潰した、とそういう夢なんだけど、気味の悪い話よね
キョン:はあ、ごきぶりですか。まあ、夢のことなんか、忘れてしまうんだな
ハルヒ:まあ、そういう夢をみた理由もなんとなくわかるのよね。誘拐事件で気が立っていた、ってこともあるんだけど、有希の部屋の台所にゴキブリ駆除剤が仕掛けてあったのよね。有希らしくないでしょ。で、思ったのよ。このマンションは、ひょっとするとゴキブリが出て、有希の病気もそれが原因なんじゃないかって。だから同じマンションに住んでいる喜緑さんも、ゴキブリには気をつけなくちゃいけないって
キョン:はあぁっ? あの長門が、ゴキブリなんかに? そりゃあ、ゴキブリにうろつかれちゃ、罠ぐらい仕掛けるだろうが、あいつに限ってゴキブリにやられるなんて、ちょっと信じられないぞ
ハルヒ:キョン、あんた馬鹿じゃない? 今は夢の話をしているの。有希とゴキブリのどっちが強いか、なんて話をしているんじゃないわ。それからね、あのゴキブリは、たぶん、キョン、あなたのシンボルじゃないか、って気もしたのよ
キョン:俺がゴキブリだって? そりゃああんまりだな
ハルヒ:土曜日の事件の時だって、キョンはあまり役に立たなかったじゃない。そりゃあ、ああいうとき、横に男の人がいるのは多少頼りになるわ。だけど、古泉君が犯人を追い詰めていったのと比べると、月とスッポン以下だわ。おまけに、お友達には変な人がいるし
キョン:古泉の働きがすばらしかったことは、俺も認めよう。俺には真似できん。まあ、古泉が、というよりも、いっしょにいた森さん、新川さんの働きがあってのことだとは思うがね。ハルヒが俺に多くを期待してくれるのはうれしいが、俺は俺、できることしかできない、ということは理解してほしい。そうだな、佐々木さんの交友関係については、多少の助言はできるのだが

と、いうわけでβ側のストーリーも大筋は書き尽くされたようです。後はそれぞれのストーリーで、神役を依頼された佐々木さんとキョンが断り、二つのストーリーは一つにまとまるというのがありそうな筋書きです。

最後のシーンは同窓会にいたしまして、これまでのストーリー上のほころびに無理やり説明を与える機会を作っておくのが良さそうな気がいたします。

以上、6回にわたって長々と書いてまいりましたが、偽「涼宮ハルヒの驚愕」は、以上をもちまして校了といたします。これまでに書きました記事は、以下のとおりです。最初から読み直していただきますと、それなりに面白いのではなかろうか、と作者は自負しております。

#2410 いまだ見ぬ「涼宮ハルヒの驚愕」を読む
#2413 「涼宮ハルヒの驚愕」を読む:補遺
#2420 「涼宮ハルヒの驚愕」を読む
#2423 続々「涼宮ハルヒの驚愕」を読む
#2425 続々々「涼宮ハルヒの驚愕」を読む
#2426 続々々々「涼宮ハルヒの驚愕」を読む

【業務記録:上記6回分の誤字を直しました(3/2)】

これらの予想ストーリーにつきましては、私は著作権を主張いたしません。すなわち、これからでるであろう、本物の「涼宮ハルヒの驚愕」がいかにこれらのストーリーに似ていようとも、私はこれにクレームをつける、ということはありませんのでご安心ください。

実のところ、似ていた方がうれしい、のですが、今回書きましたお話は、新たな要素を出さない、という縛りの元で推理・作成したものであり、谷川氏が書くであろう本物の方は、好きなだけ新しいものが出せる、という違いがありまして、おそらくは相当に異なったものとなるはずです。

読者各位におかれましては、これを読んだからといって、「本物? もう読む必要はないね」などとは決していわず、実物が出版されました暁には、先を争ってお買い求めいただくよう、よろしくお願いたします。

その他、これらのストーリーをまとめて完成された形にしていただきましても、私は文句を言うどころか、実のところうれしい、というのが本音です。ただし、あまりやりすぎますと、谷川流氏もしくは角川書店から何らかのクレームがつく可能性もありますので、十分ご注意ください。

ま、ハルヒの逆鱗に触れないようにしてください、ということですね。


この考察は、最終的に『「涼宮ハルヒの驚愕」を推理する』なる文書にまとめました。