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「涼宮ハルヒの、、、誤解」でした

このブログは、ここしばらく「『涼宮ハルヒの驚愕』を読む」と題しまして、未だ出版されません「涼宮ハルヒの驚愕」の内容を推理してまいりました。

で、舞台裏をばらしてしまいますと、これらの文章は私が思うがままに、ろくすっぽ関連資料にもあたらずに、キーボードに文章を叩き込んで書き上げたものでして、だからあんな長大な文章を、割合と簡単に、ほいほいと作成できたのですね。

しかし、こういうやり方には重大な欠点がありまして、ちょっとした誤解が、あらぬ間違いを生み出す、という問題があるのですね。もちろん、そういう間違いは、たいていはすぐに気が付きまして、ちょいちょいと原文を訂正する他、次回の記事で正しておりました。

しかし、相当に複雑な誤解となりますと、簡単には直すことができません。まあ、誤解、でもあるのですが、これをいかに正すべきか、相当に悩むべき局面が発生してしまった、というのが、今回の場合は事実に近いでしょう。

と、いうわけで白状いたしますと、これまでに書きました内容では、4年前の七夕に起こりました校庭落書き事件と、昨年の12月18日に発生いたしました長門有希による世界改変事件がごっちゃになっております。

まあ、本来のストーリー上も、この二つの事件は相当に入り組んでいるのですが、これらの時間関係をきちんと踏まえますと、「推理された驚愕」のストーリーも、多少変更する必要に迫られます。

本日は、このあたりのところをきちんと検討しておきましょう。つまり、キョンが力を持つべき人間であった可能性は、果たしてあるのか、ないのか、という問題ですね。

まず、情報爆発が発生したのは4年前の七夕のことですから、長門によります改変操作は、これの直接の原因ではありません。同じ時空点に距離を接近して複数の時間旅行が重なったことによる時空の歪の増大がハルヒのメッセージと同期して情報爆発を起こした、と考えるのが妥当でしょう。

一方、これに良く似た現象が昨年の12月18日にも発生しておりまして、こちらは、ハルヒのメッセージがない代わりに長門による世界改変劇が行われているのですね。

で、涼宮ハルヒが力を取り戻したのは、4年前の七夕時点でのキョンの依頼に基づいて長門が作成いたしましたピストル型の装置の効果によるものでして、その装置が使用されたのは昨年の12月のことなのですが、使用した人物は4年前の長門有希です。

で、その双方の時空が、極度に歪んだ状況にあったことから、取り戻されたパワーが4年前の七夕時点でのハルヒに転送されてしまった、という可能性も否定はできないでしょう。

で、この場合、異常動作中の長門有希がパワーを奪ったのは、いったい誰からであるか、が問題となりまして、それは、ハルヒであるかもしれないが、他の人間であるかもしれな、ということになります。

もう一つの可能性は、一見ハルヒの仕業であるかに見えた超自然的現象は、ハルヒの願望をかなえてやりたいとのキョンの深層心理による、無意識下での超能力の使用によるものであった、という可能性です。

キョンが、実はハルヒを憎からず思っていることは、「涼宮ハルヒの消失」におけますキョンの慌てっぷりからも明らかであり、この可能性もなかなか否定しがたいものがあります。なんとも微笑ましい説ではありますね。

で、この場合も、世界を元に戻した時点では、長門は正常な状態に戻っており、その異常パワーは涼宮ハルヒに転送されてしまったはずで、現時点でパワーを持っているのは涼宮ハルヒである、ということになります。

こういうことになりますと、橘京子の考えは、昨年12月の時点までは正しかったのだが、それ以降は古泉一樹の見解が正しくなった、ということになります。橘らといたしましては、キョンや長門によります、「世界を元に戻す活動」を、何が何でも阻止すべきところでした。

そういえば、邪魔者がひとり乱入しましたね。朝倉涼子です。彼女は以前も、キョンを刺そうとしたわけで、その時点から天蓋領域に操られていたのかもしれません。まあ、このヒューマノイド型インターフェースには、時々暴走するという欠陥がありそうでして、あれは単なる暴走、という解釈もできるのですが。

と、いうわけで、現時点での真の力の保持者が涼宮ハルヒであることには間違いがなさそうですが、その力がどのように彼女に転移したのか、という点に関しては、いくつかのケースがありそうです。以下、これらを箇条書きにしておきましょう。

・昨年12月のハルヒから奪われ、同時刻のハルヒに転送された(常識的見解)
・昨年12月のハルヒから奪われ、改変世界開始時点のハルヒに転送された(永劫回帰1説)
・昨年12月のハルヒから奪われ、4年前の七夕のハルヒに転送された(永劫回帰2説)
・昨年12月のキョンから奪われ、同時刻のハルヒに転送された(微笑ましい説)
・奪われた相手も時刻も不明だが、昨年12月のハルヒに転送された(以下、矛盾を内包した説)
・奪われた相手も時刻も不明だが、4年前の七夕のハルヒに転送された
・奪われた相手も時刻も不明だが、長門による改変世界開始時点のハルヒに転送された

もちろん、昨年12月の以前におきましても、さまざまな不思議は起こっております。ですから、これをきちんと説明できなければいけないわけで、上記「矛盾を内包した説」とは、この部分での説明が付きません。従って、長門にパワーを抜かれた人物は、ハルヒまたはキョンに限定される、というわけです。

また、4年前の七夕のハルヒに転送された、という可能性は、情報爆発がなぜ起こったか、という原因を補強する材料ではあるのですが、この時点での時空の歪は確かに高まっておりまして、これは必須、というわけでもないのが辛いところなのですね。

最も落ち着きの良い解釈は、長門の世界改変に使用されたのは昨年12月時点のハルヒのパワーであり、キョンらの働きによりそのパワーが、改変された世界の開始時点のハルヒに戻された、というもの。それ以前のハルヒは、実はパワーなど持ってはおらず、この不思議パワーを生み出したのが、キョンと長門の仕業である、という可能性もあるのではないかと思いますよ。

で、こんなこともあろうかと、長門が気を利かせて、この機会にバックアップシステム、すなわちハルヒの代わりを務めることができる人物、を準備した、というのもありそうな話でして、それが行われるとすれば、バックアップ要員に選ばれるのは、キョン、もしくはキョンの友人と目された佐々木さんである可能性が高い、というわけです。

あとは、長門の世界改変と情報爆発の関連がわからないところです。世界改変の開始時点がいつであるのか、という点は不明ですが、これは落書き時点より後であることは確かです。一方で、この二つの時点は因果関係で結ばれており、同じときの流れの中にあることはゆるがせないように思われます。

さて、このあたりのことを考えますと、この物語を通じての一つの疑惑に思い当たります。それは、昨年の不思議探しにおきまして、朝比奈みくるが語っておりました、「3年以上の過去には遡れない」という事実なのですね。

これが意味することは、この世界は3年前(「分裂」の時点からは4年前)に何者かによって創造された、という可能性でして、古泉一樹が示唆いたしますように、涼宮ハルヒが4年前に世界を創造したのかもしれませんし、キョンと長門が、とんでもない誤解に基づいて、世界を元の姿に戻すつもりで、本来とは全く違う世界にしてしまった、ということであるのかもしれません。

まあ、これは「驚愕」段階では秘すべき情報であるのかもしれませんが、キョンが4年前に世界を創造した、というのがこのお話の落ちではなかろうかという気もいたします。

キョン、とはこの物語の語り部でありまして、作者の分身。つまりは、「このお話はフィクションであり、現実の人物、団体とは関係がありません」というテロップが最後に流れる、という落ちではなかろうか、などという気もしたりしておる次第です。