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働き方のプロダクト・ポートフォリオ

昨日のブログに「フォロワー」という言葉がありました。この言葉、競争的環境下での企業戦略の一つでして、他の三つが「リーダー」、「チャレンジャー」、「ニッチャー」です。この解説は、ネット上の他のページにお任せいたします。

でも、働き方をタイプ分けする際には企業のポジショニングよりも製品のポジショニングの方が適しているのではなかろうか、と私は考えております。なにぶん、人は自分自身(の働き)を企業に売り込んでその対価として給料を得ているわけでして、いかなる働き方をするかを考えることは、どのような製品を売り込むかという考察に近いように思われるわけです。

製品のタイプ分けにつきましてはプロダクト・ポートフォリオ・マネージメントという考え方が参考になります。これは、製品の成長率を縦軸に(成長率の高い製品なら上のほうに)、自社製品の市場占有率(シェア)を横軸に(シェアの高い製品なら左のほうに)とり、上下左右の4つの区画をそれぞれ次のように扱います。

・成長率が高くシェアも高い製品(左上)は「花形」で、力を入れて取り組むべき製品です。

・成長率が低いけれどシェアは高い製品(左下)は「金のなる木」で、あまり力を入れなくても勝手に稼いでくれる、ありがたい製品です。

・成長率が高いけれどシェアは低い製品(右上)は「問題児」でして、ここには資金を投下して他社に勝ち、「花形」へと移行させるべき製品です。

・成長率も低くシェアも低い製品(右下)は、「負け犬」で、この分野からは撤退を検討すべき製品ということになります。

さてこのような分類の仕方を働き方に当てはめるにはどうすればよいでしょうか。

まず、縦軸は将来性でして、将来性のある分野で仕事をするのか、既に出来上がった安定した分野で仕事をするかの区別ということになります。

つぎに横軸は、製品の場合はシェアなのですが、これは利益の大小を意味しておりまして、仕事に当てはめるなら収入ということになります。

そうなりますと、4つの類型とその対応は次のようになるでしょう。

まず将来性が高く収入も大きな「花形」は、いわゆるグローバルマッチョの道。これは、国際的ビジネス能力や情報技術などの先端分野で高い能力を持つことで、高い収入と将来性を同時に得る道、ということになります。もちろんこんなことは誰にもできることではありませんし、才能のある人にも楽なことではないのですが、チャレンジのし甲斐はある道であるといえるでしょう。

将来性はさほどでもないが収入は大きい「金のなる木」は、既得権益を握る道でして、大企業の正社員やキャリア公務員など、あるいは規制に守られて高収入が得られるマスコミ、電力(今は疑問ですが)がこれにあたります。この道は楽して稼げるおいしい道ということになりますが、問題は将来性に疑問があること。いつまで続くか保証の限りではなく、ポジションに安住するのは少々リスクも伴います。

将来性はあるけど収入の少ない「問題児」は、スタートアップから日の浅いベンチャーなど。ここは大いにがんばって収入を増やし「花形」に移行しなくてはなりません。

最後は将来性もないし収入も少ない「負け犬」。ワーキングプアなどがこれにあたります。ここから脱け出すことはそうそう簡単なことではありませんが、ここは安住すべきポジションではなく、何とか脱出する方策を考えなくてはいけません。まあ、いきなり花形は難しいでしょうから、将来性の高いベンチャービジネスを目指すなり、安定した企業の正社員の座を目指すのが現実的な対応ということになるでしょう。

というわけで、将来性のある若者が目指すべきは「花形」しかないように私には思われます。最初から自分の能力の限界を意識して「負け犬」の道を目指すなど、どうかしております。最初から花形は難しいかもしれませんが、その場合でも、まずは「金のなる木」にもぐりこむか、あるいは「問題児」のポジションを確保し、ここから「花形」の座を目指す。この程度の戦略はしっかりと持っていただきたいものです。

大事なことは、目標とすべきはあくまで「花形」のポジションであること。間違っても「負け犬」を目標にするなどということはないようにお願いしたいところです。そういう思いから昨日の記事を書いたわけでして、別に特定の個人に恨みがあるわけではないことをご理解いただきたいと思います。