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米空母の現状

先日「低下したように見える米・北朝鮮軍事衝突リスク」と題する記事を書きましたが、軍事衝突のリスクはなくなったわけではありません。そこで、本日は、一朝事ある際にカギとなります米空母の動向についてみておきましょう。

まず、先日から話題となっておりますカールビンソンですが、航空自衛隊との合同訓練に続き、今度は韓国海軍と合同訓練を開始したと、読売新聞が伝えております。カールビンソンは、今回の件にかたが付くまでは、この海域にとどまらざるを得ないでしょう。さしたる譲歩も引き出さずに兵を引いてしまっては、北朝鮮に誤ったメッセージを与えてしまいます。

横須賀を母港としております空母ドナルド・レーガンは、定期点検中でしたが、防衛省の24日の発表によりますと、5月2日から13日までの間、艦載機の着陸訓練を行うとのこと。硫黄島の空港を用いて訓練を行う計画ですが、天候次第では厚木などの他の基地も使用すると。厚木基地(所在は大和市)でこれをやられますと、中央林間などの住宅地に騒音被害が出るため、防衛省は硫黄島での訓練を強く要望しております。

いずれにいたしましても、ドナルド・レーガンは、少なくとも5月2日以前に通常業務に復帰する、ということでしょう。

米空母ニミッツにつきましても、以前、太平洋を航行中とのニュースが流れましたが、これはフェイクであった様子で、ニミッツの母港でありますワシントン州エバレットの軍港にしばしとどまっていた様子です。

ただし現在ニミッツは、コンポジットトレーニングユニットエクササイズのため太平洋上にある、と民間情報機関のStratforは伝えております。このエクササイズ、Wikipediaでは18日間かけて行うとしておりますが、実際にこのとおり行われるかどうかはわかりません。

いずれにいたしましても、ワシントン州エバレットから朝鮮半島までの距離は約7,500km、1週間ほどで到達できる距離です。

(5/7追記:Stratfor5/4版です。このレポートは、ニミッツとレーガンは現在母港(それぞれエバレットと横須賀)にありとしており、サンディエゴを母港とする空母ルーズベルトが太平洋上を航行している旨の記述があります。)

(5/18追記:Stratfor5/18版です。米空母は現在、横須賀を母港とするドナルド・レーガンとサンディエゴを母港とするカールビンソンが朝鮮半島を東西から挟む形で展開しております。ニミッツは母港エバレットに係留中で、二週間前に太平洋を航行しておりましたルーズベルトは、母港サンディエゴに戻っております。

朝鮮半島付近の米空母が2隻に増えましたことは、軍事作戦展開にはプラスではありますが、理想的には空母3隻が欲しいところ。米国が軍事作戦に踏み切る前に、ニミッツかルーズベルトが突如日本海に現れるという展開を予想したのですが、当面このような展開にはなりそうにありません。)

その他、THAADに関しましては、トランプ氏の10億ドル請求が大きな話題となっておりますが、これはトランプ氏のブラフでしょう。より重要なポイントは間もなく使用可能という点で、おそらくは今月中にも使用可能となるものと思われます。つまり、それ以降は、いつでも北朝鮮に対する軍事攻撃を開始できる、ということですね。

もちろんその前に、ソウルの米国人に対する避難勧告が出されるはずで、これが出ますと、いよいよ要注意、ということでしょう。