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イケハヤ師 v.s. りゅうけん氏

このブログでは、イケハヤ師にdisられた人たちを何度か「イケハヤ師 v.s. XX氏」という形で取り上げてまいりました。今回のりゅうけん氏はイケハヤ師にdisられたわけではありません。それどころかかなり高い評価をいただいているのですね。それにもかかわらず、対立の形で今回取り上げました理由は、それぞれの主張が180°逆を向いているからです。

りゅうけんブログのテーマ

りゅうけんブログのテーマは、フリーランスエンジニアの魅力を紹介し、フリーランスエンジニアになる方法を伝授することが中心となっています。

その代表的なエントリーは「フリーランスエンジニアになる前に知っておいて欲しい業界の実態について」あたりではないかと思います。

イケハヤ師は、大企業で消耗している人たちに、さっさとフリーになって高知の山奥に居を移したらどうか、とさんざん煽っております。フリーランスエンジニアになるということは、大企業を止めてフリーになるというところまでは、イケハヤ師の主張に合致しているのですが、たとえば上記リンクの内容を読みますと、イケハヤ師の主張とは180°反対なのですね。主要部分を以下に引用します。

独立するなら関東圏!名古屋、大阪、福岡ならギリOK!

現状、名古屋、大阪、福岡以外の地方でフリーランスエンジニアとして活動するのは不利です。特に、常駐型案件だとその傾向は顕著。その理由を説明していきますね。

案件の絶対数が全然違う

まず案件の絶対数が全然違います。新進気鋭のIT企業は東京に一極集中していて、そもそも地方に仕事が回ってこない状態になりがちです。

僕は現在大阪でフリーランスエンジニアやってますが、東京でやってた頃と比べると、エージェントが仕事を見つけてくるスピードは断然遅いですからね。

まあ、大阪レベルの市場規模なら十分継続的に案件を渡り歩くことは可能ですが、まさに「田舎」と呼ばれるレベルの地方だと、なかなか仕事は見つからないと思います。

報酬の基準が全然違う

報酬額の基準も、東京と地方では日本とポルトガルくらい違います。ポルトガルは言い過ぎかもしれないけど、それくらい違いますw

大阪でも、東京の基準と比較すると10万円くらい低いですからね。東京で月70万円の案件なら、大阪だと月55万〜60万円くらいになるというのが業界の暗黙の了解。東京は物価が高いといえど、報酬はそれ以上に高いのです。人材不足が半端ないから。

なので、若くて未婚でフットワークに自信のあるエンジニアだったら、まずは東京に移住してフリーランスエンジニアになってみるのも悪くないと思います。渋谷周辺のアプリ開発系エンジニアなら、年収1000万円以上はザラですし、東京で独身でそれだけお金あったら人生楽しいでしょうねw

ちなみに、主に東京の案件を扱っているエージェント企業「レバテックフリーランス」の調査結果によると、レバテックフリーランスに登録しているエンジニアの7割近くは月収60万円以上とのことです。やっぱ東京はええなあ。

りゅうけん氏、基本は、東京で消耗する作戦を押しておられます。これ、東京を脱出せよというイケハヤブログの主張とは完全に逆を向いているのですね。

とはいえ、大企業の中でいつまでもくすぶっていては駄目という一点に関しては、双方の主張は一致しておりますので、まあ、ここは良しといたしますか、、、

そういえば、高知の山奥ではフリーランスが成り立ちそうにもありません。大企業で飼い殺しにされることを拒否せよというのはごもっともなのですけど、フリーで生きるにしても、東京で消耗したほうが生きやすいような気がいたします。

もちろん、イケハヤ師のご主張は、ブログで食え、ということなのでしょうが、、、

フリーランスエンジニアという生き方

さて、りゅうけん氏の主張するフリーランスエンジニアという生き方は、果たしてどうでしょうか。

結論から言ってしまえば、面白い生き方であると思います。ただし、当然のことながら、誰にでもできるわけでもなく、分野も限られているというのが実情でしょう。

まず、今日の日本社会は、なんだかんだ言っても、大企業の正社員として生きるのがもっとも楽な道ではあります。もちろんこれは、採用されることが大前提なのですが、、、

今日の大企業は、過去の蓄積というものだある。だから、ろくに力のない社員でも、以前と同じことをやっておればそこそこの利益が得られ、社員をそこそこに処遇することもできる。これは気楽な話ではあるのですが、その気楽さに安住して自らは無能でも良しと考えてしまうと、あとで困ったことにもなりかねない。

大企業といえども絶対安全とは言えず、つぶしが効かない中高年になった時点で会社が傾いて、さあどうしよう、などという笑えない話になってしまうことだってある。でも、この問題に関しては、つぶしが効くようにしておけばよいだけの話なのですね。

大企業の問題の一つは、無能であってもある程度の処遇を得ることができる一方で、有能であってもさほどの好待遇は得られない。特に、若年層の社員は、働きに応じた処遇は得られないという問題があります。

フリーランスは、年齢は関係なく、働きに応じた収入が得られるため、特に若年層はフリーランスが有利ということになるわけですね。

もちろんその分、年をとっても、それだけで処遇が改善されることはなく、年相応に技術力をあげていくならばともかく、同じことをやっていたら収入も上がらず、技術の進歩に置いていかれたら収入が絶たれてしまうということもあり得るのですね。

結局のところ、どの道を選ぶにせよ、技術の進歩はキャッチアップせざるを得ない。フリーランスは、遅れがすなわち収入減になる一方、正社員の場合は運が良ければさぼっていても逃げ切れる、という違いがあるということになります。

業種による違い

りゅうけん氏の属している業種は情報分野で、この分野は特にフリーランスが有利であるかもしれません。

そもそも、情報分野は、近年急速に拡大している分野ですし、技術の変化も激しい。このため、大企業といえども、過去の蓄積で勝負することはし難く、無能な社員を抱えていては勝負にならないことにもなりかねません。

と、いうことは、社内に人材豊富であるならともかく、普通は社外に人材を求めざるを得ない。フリーランスに対する需要もそれなりに高いということになります。

そのほかの業種であったらどうでしょうか? 機械技術者なども、フリーで活躍できるかもしれませんが、情報分野ほどの需要はなさそうな気がします。

かつて、個人で事務所を開いている光学技術者とお付き合いしたことがありますが、これはベンチャービジネスと呼ぶ方が妥当で、フリーランスという世界からはかなり外れております。

まあ、フリーランスとベンチャーの境界は、あまりはっきりとはしておらず、フリーランスが技術力を高めてベンチャー企業を立ち上げる、というのもありかもしれません。

逆に、技術を持つエンジニアが独特の着想の下にベンチャービジネスを起こす場合にも、事業が軌道に乗るまでの間、持てる技術を生かして開発業務を請け負うなどの、フリーランス的業務をこなすこともあります。

フリーランスとベンチャーのあいだは、さほどの差があるわけでもなく、自らを厳密に規定するよりも、さまざまな可能性があるとの認識を持っておくのが良さそうです。

イケハヤ師とりゅうけん氏の奇妙な共通点

りゅうけん氏のブログを読みますと、りゅうけん氏は年収300万円ほどの不労所得が得られるようにしたい、と考えておられる様子。このためには1億ほどの資産が必要で、これだけためるには何年かかる、などという計算をされているのですが、この着眼点はイケハヤ師も同じです。

結局のところ、フリーランスは保証がなく、退職金もない。病気で仕事ができなくなったら、その日から困ってしまいます。これをカバーするには、ある程度の資産を積み上げておく必要がある、ということでしょう。

まあこれは、正社員でもそれほど安心できるようなものでもないのですが、フリーランスとなれば、それなりに危機感があるということでしょう。


7/30追記:イケハヤ師は最近「MackBookおじさん」という運動(?)をされているのですが、これに疑問を呈した一人がりゅうけん氏でした。イケハヤ師、これに対する反論もされているのですが、少なくともりゅうけん氏とイケハヤ師の方向性は相当に異なることは事実でしょう。

このお二方の今後の行く末が心配(興味のあるところ)です。