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ボロアパートが生み出す文化

岡本裕明氏の2/2付けアゴラ記事「日本の空き家問題にメスを:タダ同然の住宅費が努力しない社会を生む」へのコメントです。


住宅街にひっそりとたたずむセピア色をした昭和の面影を残す2階建て木造住宅、要はボロアパートに一体賃借人はいるのだろうかと思うのです。それでも大家が手をかけているところは不動産屋の賃貸情報に出ていますが都心ですら賃料は4-5万円ぐらいです。風呂ナシ、共同トイレでしょうけれど。強引な物言いかもしれませんが、私はそんな物件は全部潰すべきだと思うのです。

理由はいくつもありますが、一番大事なのは経済が成立しなくなる点です。外から見ると日本の生活水準は二極化しています。安い方に向かうといくらでも安くできるその一つの背景が住居費なのです。雨がしのげればよいといってタダのような住宅費でも生活ができるため、努力しないでもすむ社会が生まれてしまうのです。

家賃を稼ぐために苦労するような社会は、あまり理想的な社会ではないと思いますよ。むしろ、「タダのような住宅費で生活できる」ところから、新しい文化は生まれるのではないでしょうか。

あの、手塚治虫氏が居住し赤塚不二夫、藤子不二雄、石森正太郎らが漫画を描き始めたトキワ荘のようなものがなければ、日本に漫画やアニメの文化が登場したかどうか疑問だし、1980年ごろの西海岸のスタートアップにしたところで、実家のガレージでハンバーガーサンドをかじりながら情報機器を作りあげていった。住居にお金がかかったら、漫画を描いたり回路図を引くなどとても無理、土方仕事をするなり、ハンバーガーショップのバイトをしなくちゃいけない。

古代中世は、新しい文化は貴族やその庇護を受けた人たちが担ってきたのだけど、近代以降は大都市の隙間吹き溜まりみたいなところで、環境は劣悪だけどコストがかからず時間だけはたっぷりある、そんな人たちが新しいものを作りだしてきた。そんな場所は大事にしなくちゃいけない。犯罪者のたまり場になるのはちょっと困りますけど、そうでないなら、大目に見てやればよい。当人たちのやる気と能力でどうにかなる。そりゃ素晴らしいことではないですか!

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