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問題は、事務職の質の低さです

アゴラ編集部の2/5付けアゴラ記事「日本でDXが進まないのは日本の労働者の質が高すぎるからなのか」へのコメントです。


日本のラインの労働者が優秀であるというのはその通りでしょう。その理由は、一つには、普通の人に至るまでしっかりと義務教育をしていたという素地があるうえに、1960年代の貿易自由化で危機感をいだいた電機・自動車産業がラインの生産性向上を徹底的に進めたことがあります。

我が国の底辺層の教育レベルの高さに関しては、江戸末期に日本を訪れた外国人も驚いていた。普通の庶民が本を読んでいる。まあこれ、赤表紙・黄表紙などと呼ばれた滑稽本、今ならさしずめコミック誌なのですが、欧米の識字率はそれほど高くはなかったのですね。我が国の庶民文化の高さには、驚くべきものがありました。

欧米には、移民という安価な労働力が入ってくるのですが、これも良かれあしかれで、安価な労働力がふんだんに得られる一方で、高いレベルの作業能力は期待できない。だからこのエントリーのような話になるのも納得がいきます。

一方で、1990年代、我が国のラインの生産性改善のノウハウを、欧米は事務職の生産性向上に応用した。当時急激な進化を遂げた情報機器をこれに利用したのですね。事務職は、元々、教育レベルが高いからこれが可能で、生産性を一桁高めたのですね。同じ仕事なら1/10の要員で事足りる。

一方、ラインの生産性を高めた我が国は、事務職の生産性は低いまま。なにぶん、我が国を動かしているのは事務職で、自分たちの仕事を奪うような改良には乗り気ではない。市電反対運動を繰り広げた車夫たちは、簡単に蹴散らされたのですが、我が国の事務職は我が国を動かしている。これはある意味、困ったことですが、これは実はモラルの問題なのですね。

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