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ベストか疑問:アンモニア発電

松田智氏の2/11付けアゴラ記事「呆れたアンモニア狂騒曲:アンモニア発電大国への道・・??」へのコメントです。


産ガス国で天然ガスをアンモニアに変換して日本に輸送するという考えにはいくつかの利点があります。その最大のものは、我が国の天然ガス価格が国際的に見て非常に高い。これは、天然ガスを極低温で液化して長距離輸送するコストが高いからなのですね。https://ecodb.net/commodity/group_ngas.html

アンモニアの沸点は-33℃と天然ガスの沸点-160℃に比べて高く、液化して輸送するコストも低いのですが、更には、塩化カルシウムなどの吸収材を用いれば常温低圧で輸送することもできるのですね。https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/54410/a5.pdf

アンモニアは、消費国で炭酸ガスを出さないけれど、天然ガスからアンモニアの原料となる水素を作る過程で炭酸ガスが出る。しかしこの炭酸ガスは、ガス井に戻すこともでき、こうして作った水素は炭酸ガス負荷ゼロのブルー水素なのですね。

とはいえ、炭酸ガス負荷ゼロにどれだけの意味があるかを考えますと、アンモニアが最適かどうか、少々疑問ではあります。つまり、メタノールにして運搬する方が簡単だし、エタノールにできれば、そのままガソリンを代替できるし、エチレンも簡単にできる。石炭から作る水性ガスも併用するCH4 + CO + H2→CH3CH2OHなる反応を利用すれば、さらにコストが下げられそうです。

目先を考えれば、大規模なアンモニアプラントが存在し、コストも大体わかっているのですが、核融合が一般化する時代(10年後?)までを視野に入れれば、おそらくアルコールに軍配が上がるのではないか、個人的にはそう考えております。


他の方のコメントに返信を入れておきました。

Yukimatsu Shakunaga

核融合は50年以上前(私の学生時代)から30年後に実用化すると言われていました。今も同じです。


瀬尾 雄三

核融合は、長い間、30年後の実用化を目指してきたのですが、ここにきて技術的問題はかなり煮詰まり、早期の実用化に期待が高まっております。

こうなりますと、民間スタートアップが巨額の資金を得て早期の実用化を目指す。2030年代の実用化などという話も出ております。これに資金を出しているのが、情報革命で莫大な利益を上げた人たち。ビルゲイツ氏や、ベゾス氏、企業ではGoogleなどの名前が挙がっております。https://newswitch.jp/p/33046

この動き、「ゴールドラッシュ」にも例える向きがあります。たしかにここで核融合技術をモノにした企業は、巨額の利益を上げることができる。産油国のオイルマネーのすさまじさはよく知られているのですが、核融合を手にすれば、これが無尽蔵に手に入るのですね。特許は早い者勝ち。その経済的価値は計り知れません。

もう一つ凄い点は、地球温暖化防止に対する最終的な解になりますし、資源の枯渇も心配なくなる。この手の技術をモノにすれば、企業イメージも非常に良くなるのですね。

社会的に称賛され、経済的にも大いに潤う。資金の豊富な人たちであれば、大いに取り組みたいテーマではないでしょうか。そして、技術的にも、不安定なプラズマを制御するAI技術や、巨大な磁場を作り出す超電導技術など、周辺の技術も整備されてきた。ここはやらない手はないのですね。

1 thoughts on “ベストか疑問:アンモニア発電

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