コンテンツへスキップ

当面成立つ「アンモニア火力」

池田信夫氏の5/1付けアゴラ記事「アンモニア火力は莫大なエネルギーの浪費」へのコメントです。


「CO2販売(EOR関連)」というのは、産油国でCO2を地中に埋め、その圧力で原油の生産を増やすEOR(原油増進回収法)向けにCO2を売るという机上の計算。そんな技術が採算に乗る見込みはなく、膨大な浪費に輪をかけるだけだ。

これは、さほど筋の悪い技術ではないですよ。地中から天然ガスを取り出すさいに、同じ量だけ他のガスなり水なりを注入するというのは、自然なやり方なのですね。そうしないと、地盤沈下が発生します。なお、天然ガスの場合は、EGRと呼ばれています。

過去に天然ガスを取り出した地層に炭酸ガスを注入するのも似たような話です。いずれにせよ、天然ガスを何万年も蓄えていた地層ですから、注入された炭酸ガスを長期にわたって保持してくれることが期待できるのですね。

天然ガスと水を反応させて水素と炭酸ガスを得るプロセスは既に実用化されており、ガス田でこれをおこない、炭酸ガスを地中に送り込んで水素を日本に運べば、カーボン排出量はゼロになる。だけど、水素の液化温度は天然ガスより低いため、輸送コストは更にかかるのですね。輸送コストは液化天然ガスでもバカにならず、産出国でトン2万円の天然ガスが日本では6万円などというレベルが長い間の相場でした。

水素と窒素からアンモニアを作るプロセスは、すでに実用化されており、大規模にこれを行うことでコストを下げることもできる。そして、アンモニアは加圧することで常温でも液化できる。アンモニアを燃やすと、水と窒素になって炭酸ガスは出ない。これは悪い手ではないのですね。とはいえ、核エネルギーが主力となる将来では、炭素資源をいかに入手するかという問題も生じるはずで、炭酸ガスも貴重な資源。やはりここは、天然ガスなり、これから得たアルコールなどで輸入するのがベストということになりそうです。

1 thought on “当面成立つ「アンモニア火力」

コメントは停止中です。