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安倍宏行氏の5/2付けBLOGOS記事「PCR検査増やせば感染者減る?」へのコメント

安倍宏行氏の5/2付けBLOGOS記事「PCR検査増やせば感染者減る?」にコメントしました。


| 5.97%の4人が陽性

この数字を見ただけで、この検査は信頼に足るものではないとわかります。どこをどういじくれば、三桁の数字が出てくるのでしょうか。

ナビスタ・クリニックの方は、「抗体検査」を「希望者」にしたわけですから、PCR検査をランダムサンプリングした治験者に行っているわけではありません。

とはいえ、個々の検査それ自体が怪しいとしても、これを否定するデータもなく、NYの結果と合わせて、従来考えられていたよりも感染が拡大している可能性は高いと考えるしかなさそうです。

で、問題は、PCR検査を数多くする意味ですけど、かりにそれが70%の感染者しかとらえられないとしても(感染者の30%は陰性として街に放出されてしまうとしても)、70%の感染者を隔離できれば、それだけ感染拡大を防ぐ効果があるのですね。

極端な話、国民全員を検査すると、感染者の70%は隔離され、街中を出歩いている感染者は30%に減る。

一人の感染者からの伝染によって生じる感染者の数を「再生産数」というのですが、新型コロナの場合、何もしない場合にはこれが2.5人といわれているのですが、70%の感染者を隔離すれば再生産数は0.75に減少し感染は拡大しません。

もちろん、国民全員に検査をすることなど不可能なのですが、感染者と濃厚接触があったような危ない人を中心に検査と隔離を徹底すれば、それだけ再生産数を下げることができる。また、他の対策(接触機会の8割削減、マスクの着用、社会的距離の確保等々)と組み合わせて相乗効果で再生産数を下げることもできるのですね。

検査拡大の問題は、陽性者の隔離が義務付けられている点で、軽症者を隔離することによるベッド数の不足が当初心配されたのですが、これが解消されたら、検査をためらう理由はないのですね。

検査基準は、状況に応じて、柔軟に変えていかなくてはいけません。


いくつか返信がついております。

Toshimi Minoura
> この数字を見ただけで、この検査は信頼に足るものではないとわかります。どこをどういじくれば、三桁の数字が出てくるのでしょうか。

「慶応大学病院が、新型コロナウイルス感染症以外の病気治療で入院した患者67人に対し、PCR検査を行ったところ、5.97%の4人が陽性だった」ということで、検査陽性人数/検人数を計算したわけです。つまり、4/67=0.0597 です。

この数字から、実際の感染者数(真陰性者数)と陰偽陰性数をベイズ推定で計算すると、次のようになります。

検査総数  67
検査陽性数  4
感度  Ss = 0.7
特異度 Sp = 0.99

真の状態
陽性   陰性
ーーーーーーーーーーーーーーーー
検査結果  真陽性  偽陽性
陽性     a    b
3.378  0.622

偽陰性  真陰性
陰性    c   d
1.422  61.578
ーーーーーーーーーーーーーーーー

もちろん、これは検査母体の人数が少ないですから、信頼性は乏しいです。そこで、無作為抽出した2000人ほどを検査母体とした検査を行なえば信頼性が高い結果が得られるとおもいます。

> PCR検査を数多くする意味ですけど、かりにそれが70%の感染者しかとらえられないとしても(感染者の30%は陰性として街に放出されてしまうとしても)、70%の感染者を隔離できれば、それだけ感染拡大を防ぐ効果があるのですね。

これで実効性生産数を、緊急事態制限が目指している7割の社会的隔離と同様に、70%減らすことができます。あとは、7割の社会的隔離と全人口のPCR検査の陽性者の隔離の経済的コストを比較し、これらを組み合わせるとよいとおもいます。


Toshimi Minoura
現在の日本政府の問題は、PCR検査の感度と特異度、基本再生生産数、実効再生産数の履歴、社会的隔離の実現率などを発表していないことです。

こうしたデータが得られれば、真の感染者数、擬陽性者数、偽陰性者数、真の陰性者数の、より正しい推定値が得られるとおもいます。そして、感染の拡大・収束についての、より正確な予測も可能になります。

ところが、鈴木ムネオ氏などは、緊急事態制限の結果がどうなるかなどは、「神のみぞ知る」とうそぶいています。


瀬尾 雄三
Toshimi Minoura さん

この数字が割り算で出した数字であることぐらい、私にもわかります。

だけどこれを3桁も表示しているということは、精度に関する無知無脳を表しており、検査の過程やサンプリングに対して、きちんとした検討が行われていないことを示唆しております。

少なくとも、サイエンスの訓練を受けた人の仕事ではないであろうということは推察されます。

もちろん、素人が出した数字だって、全く意味がないわけではないのですが、これを判断の決め手にすることは、全くの間違いです。


Toshimi Minoura
> 検査の過程やサンプリングに対して、きちんとした検討が行われていないことを示唆しております。

ドイツや米国のいくつかの都市で組織的な抗体検査が行われていますが、そこで、でてくる抗体保持者の割合は、2%、5%、15%といろいろです。はっきりしているのは、感染確認者数の10倍以上であるとということです。