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理性を超越することが成功の鍵

黒坂岳央氏の6/3付けアゴラ記事「スティーブ・ジョブズ『成功に一番必要なこと』」へのコメントです。


古い考え方は、理性なり論理で収益を最大化することが、人生なり企業経営の成功のカギと考えられておりました。でも、理性や論理は誰でも知ることができる。コンピュータだって最適な判断を下すことができるのですね。これでは、競争環境の中で大きな成功を収めることは難しい。

一方、大きな利益は、過去に存在しない価値を新たに作り出すことでもたらされる。しかし、過去に存在しない価値を論理的に導き出すことは困難なのですね。このエントリーで強調されている情熱は、論理を超える力をもたらす。ジョブズは、似た概念として「ステイ・フーリッシュこちらも)」とか「クレージーな奴に乾杯」などと語っておられます。

経営の世界でこの重要さを語った書物に、石井淳蔵著「ビジネス・インサイト―創造の知とは何か」があります。石井氏は、同書の中で、従来一般的な「論理実証主義」に基づく経営ではなく、ひらめき重視の経営を薦めます。そして、言語化できないもの、論理として意識される以前の、暗黙の認識が重要であると主張いたします。このために必要なやり方は、対象に距離を置かず「棲み込む」ことだというのですが、これが言葉を変えれば「情熱」ということではないでしょうか。(解説はこちら

石井氏はいくつかのケースを紹介されているのですが、カルビーのケースが面白い。カルビーは松尾孝社長の強い思い入れによりフラットタイプの生チップを選択したが、輸送コストが高く、油が酸化しやすいという問題があった(思い入れ>論理ですね)。そこで、カルビーはこれまでの工場立地を、馬鈴薯の産地である北海道から、消費地の近くへと変更するとともに、鮮度維持を営業の重点課題とした。これが、世に受け入れられ、同社のポテトチップスは大いに売れたと言います。

ジョブズの創業したアップルも大成功を収めるのですが、共同創立者のウォズニアックがまたすごい。技術面での凄さは広く知られるところですが、彼は大枚をはたいてウッドストックの再現をはかるのですね。これは結果的に失敗するのですが、でも「良かった」というのがウォズの感想。まったく彼は、理性を超越した存在です。ウォズの魔法使いとは、よく言ったものです。

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