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少子化と労働生産性の問題は別

岡本裕明氏の8/14付けアゴラ記事「上がらない日本の労働生産性は何故?」へのコメントです。


少子化するのは、乳幼児死亡率の低下や、高学歴化による教育費の増大、女性の社会進出などもありますけど、基本的に、子育ては経済的に損、という今日の社会制度によるものでしょう。

つまり、昔の大家族制度であれば、親は子を扶養して育て、高齢化したら子に扶養される。ギブアンドテイクの関係がそこにはありました。しかし今日では、高齢者は年金の形で社会全体が扶養する一方、子育ては親の負担となる。これでは子供を育てるのは、持ち出し一方でリターンがない。経済的に損ということになってしまう。年金制度で高齢者を養うなら、子育ても社会の負担で行うようにしなくてはいけない。

一方、日本の労働生産性が上がらないのは、1990年代の情報革命に乗り損なったからで、産業革命が蒸気機関といった筋肉の置き換えであったのに対し、情報革命はコンピュータという脳の置き換えが進んだのですね。今日ではさらにAIなどが騒がれている。

このような時代には、情報技術に通じた人が社会を引っ張っていかなくてはいけないところ、我が国のマネージャ、官僚の多くはこれがわからなかった。一部にささやかれている「文系問題」がそこにはある。つまりこの場合の「文系」とは、要は数学や論理的思考能力に欠けた人というわけなのですね。こういうやり方、人間関係で世の中を動かしていた時代には通っても、技術がリードする時代には通らない。さらに悪いことには、固定的人事制度により、要員の入れ替えもままならない。

とはいえ、このような動きは若い人(それも優秀な若い人)には察しが付くわけで、旧態依然とした官僚や技術を伴わない事務職が敬遠されることになる。もちろんこんな動きは遅々たるものですから、日本は国際競争に置いてけぼりを食らうことになる。いずれはどこかでドラスティックな社会変革が迫られることになると思いますよ。

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