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悟空の大冒険

手塚治虫氏の「悟空の大冒険」が期間限定で公開されています。このエントリーでは、このアニメに関して、ちょっと議論したいと思います。


悟空の大冒険とは

「悟空の大冒険」は、我が国のアニメの歴史に画期を刻んだTV版「鉄腕アトム」の後番組として放映されたのですが、こけた、というのが良いかもしれません。この方、時々こけるのですが、千夜一夜物語のおおこけの際には、イエローサブマリンの公開に道を開くという成果もあげているのですね。

そして、手塚治虫氏と孫悟空、東映アニメ時代にも一度手掛けたテーマではあります。悟空の大冒険の原作は、手塚治虫氏の漫画「ぼくのそんごくう」なのですが、東映動画もこの原作をはるか昔に劇場版アニメにしているのですね。それも手塚治虫氏を巻き込んで。これが、手塚氏がアニメーションを作り出すきっかけともなっております。

悟空の大冒険に先立ってTV公開されました「鉄腕アトム」は、大好評を博し、日本のテレビにアニメ番組が続々と誕生するきっかけとなりました。これが今日のアニメ大国日本へとつながる、きっかけになったわけですね。

で、鉄腕アトムが終了した時、その勢いを受け継ぐ形で、同種の後継番組を企画するのは当然の話なのですが、ここに孫悟空をもってくるのは、手塚治虫の漫画「ぼくのそんごくう」を原作に作られました東映動画の「西遊記」が一定の成功を収めていたからなのですね。そこでここではまず、手塚治虫氏を巻き込んで東映動画が製作した「西遊記」についてみていくことといたしましょう。

日本アニメーションの黎明期に関しては、山口訓・渡辺泰両氏によります「日本アニメーション映画史(有文社)」に詳しいのですが、その127ページに週刊朝日(1960年、月日不詳)の大矢壮一氏と東映動画大川社長との「大へんもうかる漫画映画」なるタイトルの対談が引用されております。孫引きにはなりますが、興味深い記述ですので、以下に紹介しておきます。なおこのお話は、東映動画の製作になります劇場版『西遊記』に関してですのでお間違いのなきように。

大川:なぜもうかるかというと、四年前に私が動画スタジオを作りまして、今三百人程の絵かきがいます。ここでテレビのコマーシャルを大体一ヵ月四百から五百程度作っているんです。それで三百人の人件費が全部償却できるんです。長編漫画は『白蛇伝』『少年猿飛佐助』『西遊記』と三つ作りましたが、いずれもいい成績です。

大宅:海外には売れているんですか。

大川:『少年猿飛佐助』はメトロが十万ドルで買いまして、世界配給をやっています。

大宅:それじゃ、もとは取れるじゃないですか。

大川:あなた、もとは国内でとっちゃって、もうけたあとに十万ドルで売れたんです。

大宅:製作費は‥‥‥

大川:五千万円かかりました。その五千万円は国内配給でとうにあげていますからね。たしか国内で一億三千万円くらいあげていましょう。

大宅:動画の製作は、あなたが外国を回ったときに考えたんですね。

大川:そうです。日本には一つしかないし、世界でもディズニーだけですから、今にディズニーを負かしますよ。

大宅:日本は労力が安いですからね。

大川:労力ばかりじゃなくて、日本人は絵を描くのが非常に器用なんです。だからディズニーを負かすというのは、そういう意味なんです。

すごいですね。まあでも、ここはアニメを見ながらゆっくりと書いていくことにいたしましょう。そして、本件、アニメを見るにもかなりの時間がかかりますので、このエントリーは時間をかけて、この先、少しずつ書くこと致します。

なお今回のネット公開、Wikipediaによりますと次の通りですので、お見逃しなく。

2022年5月17日からは同年7月19日までの期間限定で、同チャンネルから全39話が無料配信される(第1話も先述配信分と共に並行配信)。今回も先述の第1話配信分同様、OPラストの提供クレジット部は番組タイトルに差し替えたが、次回予告は画像が存在する回(第10回・第12回ほか)はそのまま配信、逆に存在しない回は音声だけ配信となり、サブタイトル表示は第6話まではブラックバック、そして第7話からは通常バージョンになっている。

ま、まだ一月少々ありますから、楽しめそうです。とはいえ、TV放映時にはおおこけしたわけで、どれほど期待してよいのか、ちょっとわからないのですが、、、

悟空の大冒険のスタート

悟空の大冒険の開始時点での状況は、前にも引用いたしました山口訓・渡辺泰両氏によります「日本アニメーション映画史(有文社)(p164))によりますと、次のような状況でした。(読みやすいように段落を追加し、誤字を改めております)

大流行のギャグ動画

国産TV動画の先鞭をつけた「鉄腕アトム」も制作のマンネリ化、輸出先のアメリカがカラーでなければ駄目とか、スポンサーの明治製菓が商品イメージの限界と放映が打ち切られ、国産初のカラー・シリーズ「ジャングル大帝」も視聴率低下で打ち切り。当時、他社のTV動画では藤子不二雄原作のギャグマンガ「おばけのQ太郎」や赤塚不二夫の「おそ松くん」などのナンセンス・ギャグに人気が集中していた。虫プロでもアトムの後番組をどうするかが問題となっていたが、従来の虫プロカラーを打破する意味で「悟空の大冒険」ギャグ中心で制作することになった。

悟空の性格をドライな現代っ子に焦点をおき、視聴者に親しみを与える。八戒、沙悟浄をコメディ・リリーフとし、普通はとりすました偉いお坊さんの三蔵法師を弱虫にして、悟空の助けを借りてなんとか旅を続ける設定にしている。また悟空にガールフレンドの竜子を配するサービスも考慮されていた。

東映動画の「西遊記」よりこちらのTV版の方が手塚原作の「ぼくのそんごくう」の雰囲気はよく出ていた。徹底したギャグの面白さが、このシリーズを成功させた。プロデューサ・川畑栄一、チーフ・ディレクター・杉井ギザブロー、演出・出崎統、波多正美。放映開始四十二年一月七日。

これしかし、竜子役は増山江威子さんですね。この方、後にルパン三世の峰不二子になるのですが、その雰囲気が出ているかどうかも、この作品を楽しむポイントかもしれません。なんとなく、気分次第で動くわがままな性格が共通しており、必然的に声の調子も似てくるところが面白い。第5話など、やってることも峰不二子ですねえ、、、

それはともかく、上の記述では大成功したアニメのようにも見えますが、私の印象では、放映開始時点でこそは、人気番組「鉄腕アトム」の勢いを借りる形で高視聴率だったのですが、徐々に人気が低迷したというのが実態であったように思えます。

まあ、これにつきましては、このアニメを先まで見てから判断したいと思います。

1 thought on “悟空の大冒険

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