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日本と中華、文明の違いを守れ

古森義久氏の7/29付けアゴラ記事「米中対立はなぜ『文明の衝突』なのか」へのコメントです。


「文明の衝突」といえば、1996年に原著が出ましたサミュエル・ハンチントン著「文明の衝突」(日本語版は鈴木主悦訳で1998年の出版)が有名です。この中で世界の文明を、「中華文明」、「日本文明」、「ヒンドゥー文明」、「イスラム文明」、「西欧文明」、「ロシア正教会文明」、「ラテンアメリカ文明」の7つに数え上げております。

このエントリーとの絡みで少々問題であるように思われる点は、中華文明を一つの文明とみなす点では大方の意見が一致しているのですが、一部の学者は日本文明を中華文明に含めて考えているという点が問題なのですね。

ハンチントン氏は、日本文明は西暦100年から400年の時期に中華文明から派生したとしており、これが大方の見方であると述べます。この時期は、後漢書や魏志倭人伝に描かれた倭国の時代で、乱暴な言い方をすれば、卑弥呼の時代の前後に日本文明が独立したということになります。

この時代はまた、崇神天皇の時代であり、記紀の記述がほとんどなされていない欠史八代に続いて即位された天皇であり、ここから急速に記紀の記述が充実してまいります。そして崇神天皇を称して「御肇国天皇(ハツクニシラススメラミコト)」つまりは初代の天皇としております。(神武天皇にも似たような形容がなされているのですが。)

世界の知性が日本文明の成立に関して記紀と同様の考えを抱いていることは大変心強いことではあるのですが、この先の展開次第では、中華文明と一体とみなされる恐れもなしとは言えず、この点には大いに注意してかからなくてはいけない。あまり権威主義的なそぶりを見せないようにしなくてはいけません。

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