深谷隆司氏の5/5付けBLOGOS記事「緊急事態宣言延長」にコメントしました。
| 政府として大事なことは、感染症対策と社会経済活動の
| 両立を図ることだ。
この部分を読んで、違和感の正体に気付いたような気がいたします。
多くの自然現象は、負帰還がかかってシステムが中位で安定する性質があります。速度が上がると摩擦抵抗が増えるとか、温度が上がると放熱量が増えるとか、ですね。
人体の筋肉などの制御も負帰還によって行われていることはサイバネティックスの祖、ノバート・ウイナーが指摘しましたし、ニクラス・ルーマンは社会システムの自律制御をオートポイエーシスと呼びました。経済学でも、限界効用逓減の法則などは、負帰還のような話ですね。
このようなシステムにおいては、様々な構成要素に資源を配分することで最適化が可能です。これが普通の話なのですね。
ところが世の中には、負帰還ではなく、正帰還がかかるシステムがある。病気の伝搬もそういう性質のシステムの一つで、感染者が新たな感染者を生み出すことで、増加が増加を加速する性質があるのですね。
このようなシステムの代表的なものがデジタル回路で、値は1か0しかない。中間の値というものがないのですね。
この手のシステムに資源を中途半端に配分しても意味はない。1にしたいなら1になる閾値まで資源を投入するしかありません。
新型コロナの場合も、実行再生産数が1を超えるか1未満かで、人口の半分以上が感染するか、新規感染者をほぼゼロに抑えられるかが決まってしまいます。
ここで必要なことは、「両立」ではなく、感染拡大を防ぐことでしかないのですね。
われわれが相手にしているシステムが、どのような性質をもつものであるのか、この認識をまずしっかりと行うことが肝要です。そしてその性質に見合った対応をしていくことを考えなくてはいけません。
中途半端な対応は最悪で、効果が発揮できるレベルまで、きちんと対応しなくてはいけないのですね。
5/6追記:このコメントにいくつかの返信がついております。
Tetsuharu Kawasaki
ノロウィルスもインフルエンザも死者かなり出ますが、
毎年ロックダウンしないといけないと言いたいんですね
わかります
Toshimi Minoura
> このようなシステムの代表的なものがデジタル回路で、値は1か0しかない。中間の値というものがないのですね。現在、ネットワークで送信される情報は、数字も、文字も、音声も、画像も、0と1で表せられ、デジタル回路である計算機で処理されます。
アナログ信号は、アナログ・デジタル(AD) 変換器で、デジタル信号に変換されます。現在、スマホなどで広くつかわれている AD 変換方式の発明者は、次のTemes 博士です。
Temes 先生は現在90才ですけれど、今も現役です。彼は、数えきれないほどの賞をもらっています。そして、非常に親切な人物です。
瀬尾 雄三
Tetsuharu Kawasaki さん| ノロウィルスもインフルエンザも死者かなり出ますが、
ノロやインフルエンザは、医療崩壊までは招かない。
武漢やイタリアで起こったことが、毎年我が国で起こってもよいならば、ロックダウンの必要などないのですね。
もちろん、そうせよという意見があることは了承しております。
それに日本社会が耐えられるようには、とても思えないのですが、、、