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円安という「チャンス」

池田信夫氏の6/22付けアゴラ記事「バカでもできる円安誘導(アーカイブ記事)」へのコメントです。出て行きませんね。まあ、仕方ありません。


なぜか最近忘れ去られているようなのですが、一般的に自国の通貨安は自国産業を保護する上から好ましい状況であり、時に自国通貨の下落をたくらむ国が現れるのですね。

これに他国も同じ手を打つと通貨安競争となる。過去に何度かあったとWikipediaなどに書かれておりますが、基本的に、自国通貨を意図的に安値に導くことは、近隣窮乏化政策などと呼ばれ、国際的な非難の対象となる。

でも、金融危機を避けるためや、投機筋への対応などの合理的理由があれば、あえて非難されるようなこともない。投機的な日本国債売りや円売りは、大きな声じゃ言えないのですが、チャンスなのですね。

まあ、黒田氏の言いたいことはそういうことで、肝心かなめの点を立場上語れない、というのが実情ではないかと邪推しております。ご愁傷様、と思わなくてはいけません。


短くしても駄目ですね。池田氏、私をブロックした様子です。ちなみに、短縮バージョンは以下の通り。


なぜか最近忘れ去られているようなのですが、一般的に自国の通貨安は自国産業を保護する好ましい状況であり、時に自国通貨の下落が意図されます。

自国通貨の安値誘導は、近隣窮乏化政策などと呼ばれ、国際的な非難を受ける。でも、金融危機の回避などの合理的理由があれば非難はされない。投機的な日本国債売りや円売りは、チャンスなのですね。

恐らく、それが黒田氏の置かれた状況で、肝心かなめの点を立場上語れないのが実情と邪推しております。一方で説明責任もあり、マスコミや政治家からは責められる。まったくご愁傷様なことではあります。


さて、日銀が円安を選んだ場合の池田氏の予想は以下の通りなのですが、これにちょっとコメントを付けておきます。

  1. 円は暴落して150円に近づく
  2. 日本国債も暴落する
  3. 市中銀行が大きな評価損を抱えて金融危機が起こる
  4. 日銀が市中銀行を資本増強する
  5. 円が大量に流通してインフレになる

まず、円の150円は暴落ではないですよ。下にグラフを付けておきますが、失われた30年の前の時代のドル円は200-250円でした。プラザ合意を受けた円高が、円の暴騰で、およそ2倍になっちゃった。その結果は、不動産バブルとその崩壊、金融危機、そして失われた30年と続いているのですね。

上にも書いたのですが、自国通貨高は自国の産業を破壊します。自国窮乏化政策なのですね。まあ、それ以前の日本が強すぎた、電機、自動車の集中豪雨的輸出などというものがありました。でも、今の我が国の電機・自動車産業も同じ強さが続いているかといえばそれは怪しい。いくら何でも30年もすれば、海外のメーカだってキャッチアップくらいしているでしょう。

さらに、我が国は米国発の情報革命に乗り遅れている。もしかすると、プラザ合意以前よりも、日本の産業は相当に弱体化しているかもしれないのですね。そのあたりは、この先円安が進み、日本に工場が戻ってきたときに、これらの工場が、国際的にみて、どの程度の競争力を持つかを見ていけばわかってくるでしょう。

第二の「日本国債も暴落する」ですけど、これは、日銀が国債を買い支えれば暴落しない。これに必要な資金は、紙幣を発行して賄えばよい。日銀は保有する日本国債の残高に応じて紙幣を発行できるのですね。国債価格が下落しなければ、我が国の銀行が危機に陥ることもありません。資本を増強する必要もありません。

最後に、円が大量に出回るという点ですが、個人が保有する国債を売却すれば、個人の円の持ち高が増える。だけど、これまで国債を保有していた人たちが、このお金を消費に回すかといえば、これは疑問です。普通に考えれば、株式や不動産などに投資しそうなものです。それに、国債価格が下落に向かうなら国債を売ろうと考えるでしょうけど、日銀が買い支えていたら、あえて売ろうとも思わないのではないでしょうか。また、銀行が保有する余剰の円は、銀行が無駄遣いをする理由もなく、結局日銀の口座に預け入れられるだけです。

結局のところ、起こりそうなことは、為替相場はそれぞれの国の産業力に見合ったところで落ち着くはずで、我が国の「失われた30年」の原因が「円が過大に評価されているため」であれば、分相応のレベルに円相場も落ち着く。過去のチャートから見て、200円前後が落ち着きどころではないかと思いますが、あるいは150円に近いところかもしれない。これは、おいおいわかってくるでしょう。

そして、そのような円相場を許容するのであれば、日銀は円高誘導の手を打つ必要もなく、金融引き締めの必要もない。そもそも、日本の景気が非常に良いというならともかく、景気低迷中のところで金融引き締めなどできないはずなのですね。

逆に、円相場の下落を許せば、海外の旅行客が大いにドルを我が国に落としていくということもありますが、本命である製造業の日本回帰が進んでくれれば、我が国の幅広い産業が活性化する。そうしてやっと失われた30年から脱却することができるのですね。

国内製造業が復活すれば、そしてこれらが国際競争力を持つならば、我が国の貿易収支の黒字幅が拡大し、外貨を稼ぎ、円高サイドの圧力を生じます。一方で、低金利を保てば、円を借りて外貨に投資する利ザヤ稼ぎ(キャリートレード)がおこなわれ、円売りによる円安側への圧力も生じます。

この円安、投機的な動きの結果で、日銀や政府に責任はない、と頬かむりをしたいところです。もちろん、低金利を保っているからこのような動きが生じるわけですが、景気が低迷している限り、低金利は合理的な理由があり、海外からの圧力はかわすしかありません。 

しかし、行き過ぎた円安が生じた場合には対応が迫られるはずで、これに関しては、日銀はいくつかの手が打てる。一つは、物価指数をウオッチして、需要の高まりによる物価高(つまりは、景気の過熱)であるなら金利を引き上げればよい。

もう一つは、行き過ぎた円安による輸入価格の上昇物価上昇が問題であるならドル売り円買いに動けばよい。このドル売り、可能な限り円の安いポイントで行いたいところで、為替差益による過剰な円資金が欲しいところ。ずるがしこく振舞うならば、ドル売り対応を可能な限り遅らせて、内外からの圧力が沸騰するぎりぎりのタイミングでドル売り円買いに動くことで利益が最大化されるのですね。キャッシュを厚く持てば、いろいろな手が打てるようになります。

さて、このような経緯をたどった場合、これによって最も打撃を受けるのはどこかという点が興味深いところ。おそらくそれは中国のはずであり、そうであるなら、西側諸国は円安の進行にさほどクレームを付けないのではなかろうかという期待もあります。

まあ、実際のところはどうなるかわかりませんが、この先うまく振舞えれば、いろいろな問題が同時に片付く、面白い展開も期待できるのではないかと思いますよ。


これでええんか、といいたくなるかもしれませんけど、園田競馬場公式です。

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