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甘味な円高が日本をダメにした

アゴラ編集部の9/21付けアゴラ記事「日本のGDPが4兆ドルを下回る見通し:人口3分の2のドイツと並ぶ」へのコメントです。


85年から95年ごろにかけて我が国のGDPが急速に伸びたのは、プラザ合意を受けての円高によるものなのですが、これは日本経済を成長させるどころか、日本の輸出産業に大きなダメージを与えているのですね。この時の円高は、1ドル200-250円の水準から100-125円付近と、円の価値が倍増し、円建ての預貯金のドルベースの価値が倍増、給与も倍増、輸入品は半額で買えるという、ある意味天国みたいな話だけど、それまで外貨を稼ぎまくっていた輸出産業にはドツボな時代が始まった。

でもそれだけなら、日本は他国並みになっただけで終わっていたかもしれないのですが、もう一つ大間違いをしでかしたのですね。それが1990年代に起こった情報革命をものにできなかったことです。

1800年前後に起こった産業革命は、エネルギーの利用により肉体労働に大きな変革を生じたのですが、20世紀末に起こった情報革命はパーソナルコンピュータと情報ネットワークの利用により知的労働に変革を生じた。産業革命がブルーカラー業務の変革なら、情報革命はホワイトカラー業務の変革だったのですが、日本ではこれがおこなわれていない。

情報革命の波に乗れない日本は、情報サービスやこのための機器といった関連産業も育たない。ホワイトカラーの生産性が上がらないうえに、新しい産業にも出て行けないわけで、そりゃGDPも上がりません。日本だけがこれに失敗した原因は、いろいろ言われているのだが、終身雇用のため従業員が入れ替わらず、環境変化に職場がついていけなかったことが最大の原因と目されております。

30年間、日本の進化が止まってしまったことは大きな痛手だけど、この変革をしないがゆえに、使えない人材を作り続けたことも痛恨の極みなのですね。30年前に情報革命に応じた人材育成に切り替えておれば、今の40代、50代が我が国の職場を変革していたはず。しかし、現実は旧態依然。もはやこれを放置しておくことは、許されない段階になったのではないかな?


ブログ限定で、ドル円の長期チャートとドル建てGDPのチャートを示しておきます。

https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&c1=JP&s=&e=

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