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円安に関する米国の二つの思惑

中村仁氏の9/24付けアゴラ記事「世界の実験台にされている日本の円安と金融・為替政策」へのコメントです。


今回のドル高円安には、二つの要素があるように思います。一つは、米国のインフレ対策で、このために米国はドル高にしたい。その手段は、金利の引き上げで、海外との金利差があるからドルが買われるわけですね。

ここで海外も金利を上げてしまうとドルの上昇が鈍ってしまうため、米国にとって他国の金利引き上げはノーサンキューなのですが、各国もインフレ対策を迫られれば金利を上げざるを得ない。でも日本のインフレは、さほどでもないから低金利が維持でき、米国にもいい顔ができる、といったところでしょう。

もう一つの点として、本来円安は日本の産業の国際競争力を高め、他国の産業にとっては好ましいものではない。そうだからこそ、1980年前後の日本の集中豪雨的輸出に対して1985年のプラザ合意に基づく協調介入を行い、ほとんど二倍にもなる円高を実現したのですね。

それで確かに集中豪雨的輸出にはブレーキがかかった。だけど、米国自動車産業の苦境はその後も続き、2009年にはGMが破綻している。何のことはない、米国自動車メーカの問題は、自分たちの問題だったということ。おまけに円高で利益を得たのは中国で、そのために、東アジアの緊張感が高まってしまった。こんなことなら、日本に儲けさせておいた方がマシ、ということではないかな?

というわけで、日米双方が望むことは緩やかな円安と、それによる中国経済の締め付け、と私は邪推しております。ドル円は、200円以上は無理だとしても150-200の間に落ち着くのではないかな? まあ、多少のインフレはあるだろうけど、給与も上がればトントン。あとは生産性を高め、エネルギーを何とかすれば、日本の未来も明るそうだと睨んでおります。


ドル円チャートを挿入しておきます。

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