木村正人氏の7/23付けBLOGOS記事「反マスク運動の正体 コロナで『文化戦争』と化した英米のマスク着用論争」にコメントしました。
マスクの有効性は、すでに科学的には立証されている。でもそれを受け入れられない人がいる、というのもごく普通のことなのですね。
内田樹さんの「寝ながら学べる構造主義」によれば、このあたりの事情は次の通りです。
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私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。だから、私たちは自分が思っているほど、自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない。むしろ私たちは、ほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け入れたものだけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。
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そしてこれが(マスクなどをするアジア人蔑視といった)人種的偏見に結びついてしまった場合、ひとたび受け入れてしまった考え方(マスクに意味はない)を修正することは困難になります。
この状況から脱するためには、感性に基づくのではなく、知性に基づいて考え、行動しなくてはいけないのですが、「リベラル」ですら「共感」重視の今日の社会で、これは非常に困難ということなのでしょう。
これを改めるには、政治指導者や評論家といった、知的リーダーたるべき人々が知性重視の姿勢を示さなければいけないのですが、今日の評論家や政治家、そしてマスメディアも、感性重視の共感指向に走ってしまっており、状況は絶望的と言わざるを得ません。
愚か者は滅びるしかない。それが歴史の必然ということなのでしょう。