木曽崇氏の1/15付けBLOGOS記事「観光絶望立国:もはやコロナ禍に対する策がない観光庁」にコメントしました。
山本七平氏の「日本はなぜ敗れるのか」は、第二次大戦中に、ガソリンの代替燃料にサトウキビからアルコールを生産するため、フィリッピンに送り込まれました小松真一氏の日記から、日本の軍部の問題点を解析した書物で、その中に興味深い一節があります。
15.バアーシー海峡の損害と、戦意喪失
南方諸島で米軍の猛攻にさらされた味方を救援せんと、日本軍は次々と兵を船に乗せて送り込むのですが、バシー海峡で待ち構える米軍の潜水艦にことごとく沈められてしまうのですね。そして、山本七平氏は次のように書きます。
バシー海峡ですべての船舶を喪失し、何十万という兵員を海底に沈め終わったとき、軍の首脳はやはり言ったであろう。「やるだけのことはやった」と。
これらの言葉の中には「あらゆる方法を探究し、可能な方法論のすべてを試みた」という意味はない。ただ一方法を一方向に、極限まで繰り返し、その繰り返しのための損害の量と、その損害を克服するために投じつづけた量と、それを投ずるために払った犠牲に自己満足し、それで力を出し切ったとして自己を正当化しているということだけであろう。
今日の我が国の政府も似たようなことをやっていると、このエントリーで紹介された観光庁のやり方を見て感じました。
なお、同書の初出は、1975年から翌年にかけて雑誌「野生時代」に掲載されたもので、山本七平氏は当時の我が国の左翼のやり方が戦時中の日本軍と似ていることを批判して書かれたといわれています。さて、今日の左寄りの方々は大丈夫でしょうか? こちらも甚だ怪しいのですが、、、
ダメだろうね
日本人はダメなときを考えることを禁じている。
うまくいかないことを考えようとするとすぐにゼロリスクといって考えることをやめさせようとするからね。