石破茂氏の1/23付けBLOGOS記事「コロナ対策、中国国防法改正など」にコメントしました。
人口当たりの死亡率はアメリカの30分の1であること
これは、不安感をいだく理由にはなるけれど、安心できるような要素ではないと思いますよ。つまり一つ間違えれば、日本の死者は30倍に膨れ上がってもおかしくはないということを意味します。日本で死者が少ない理由として「ファクターX」というものが考えられたのですが、その実体が何であるかいまだ明らかになっていないことに注意しなくてはいけません。
ファクターXの実体は、日本人がBCGや過去の感染による何らかの免疫を持っている可能性だってないわけではないのですが、そんなものは全然なく、欧米と比較して衛生的な生活習慣や風邪の流行時にマスクを着用する習慣、あるいはフィナンシャルタイムズが指摘するような早期の休校措置、麻生氏の指摘する「民度」(お上の要請に素直に従う国民性と私は解釈しております)などなど、行動によるものかもしれないのですね。
そして、これらは時間の経過とともに緩んでくる。長期にわたって新型コロナの感染拡大が抑えられた結果、このエントリーにあるような、新型コロナ恐れるに足らずとの意識も広がってくる。それがファクターXを破壊する結果を招く可能性だってないわけではないのですね。
我が国はこれまでに3回の感染拡大の波を経験している。第一波はみんなが恐れたけれど鎮圧に成功した。第二波は、さしたる対応もせずに収束に向かわせることができた。これらのいずれもが気温の上昇に助けられた可能性が高いにもかかわらず、「弱毒化した」などのリスクを軽視する考えも出てきた。そして冬季に迎えた第三波は、第一波、第二波を大幅に上回る規模に感染が拡大している。これをどう考えるか、安心してよいのか、危機に備えるべきなのか、そこが問題です。
返信がついております。
Tetsuharu Kawasaki
いやいや、少なくともファクターXがあるのは日本だけではないよ
瀬尾 雄三
フィナンシャルタイムズが昨年3月末に指摘した、アジア諸国でコロナ感染者の少ない理由は、次の通りでした。
日本:strong social norms around social obedience and mask wearing(社会的従順とマスク着用に関する強い社会規範)
韓国:huge test-and-trace programme got on top of the outbreak(大流行にぶつけた強力な検査追跡プログラム)
シンガポール:strict quarantine rules & contact tracing(厳格な検疫ルールとコンタクトの追跡)
ホンコン:school closures, quarantine, community response(学校の閉鎖、検疫、コミュニティの対応)
上記は、特に目立つ点をピックアップしたもので、マスク着用などはアジア諸国に共通して見られた特徴でした。また、発展途上国で死亡者が少ない理由として、世代構成の差が指摘されておりました。
これらに関しては、ファクターXという言葉は使われてはいなかったはずですが、意味するところは同じですね。つまりは、他国と異なる要因、といった意味でしょう。
Tomoyoshi Sasamoto
東アジア諸国は有史以来、広東あたりから持ち込まれ続けたコロナウイルスに対して、それなりの免疫を持っていると考えるのが自然では? BCGも効いていると思う。
https://www.rieti.go.jp/.../contri.../fuji-kazuhiko/195.html
瀬尾 雄三
Tomoyoshi Sasamoto さん
BCGに関しては、隣接した類似国家であるスペインとポルトガルで、BCGを接種していたポルトガルがBCG接種のないスペインに比べて少ない死者数であったことから、効果があるのではと考えられておりましたが、最近の人口あたりの死者数は、ポルトガルがスペインの1.5倍近くと上回っております。
コロナウイルスの免疫に関しては、現在のところ、アジア諸国がヨーロッパなどに比べて特別に保有しているとする証拠は挙がっておりません。
たしかに、当初の死者数が少ないなどのデータはあるのですが、発展途上国と先進諸国の元々の衛生状態の差(その環境を生き抜ける衛生概念や体力の差)や年齢構成の違い(発展途上国では新型コロナが重篤化しやすい高齢者比率が低い)などをきちんと分けて評価しなければ、それが抗体の差であるといった結論は導けないのですね。
「違った挙動を示している」という意味でファクターXは確かにある。だけどそれが、早期の学校閉鎖や、最初からマスクの着用が高かったことなどであるなら、現在ではファクターXが失われている可能性もある。
欧米もマスクをするようになってなおかつ新型コロナが猛威をふるっているということは、我が国がいつ何時感染の急拡大を生じてもおかしくはないことを意味するのですね。
もちろん、そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。「わからない」が現時点での正しい認識といえるでしょう。
これから米国でもしっかりマスクをつけるからへるやろ。