PRESIDENT Onlineの2/28付けBLOGOS記事「『日本人は貧乏になった』その残酷な事実に気付かない人が多すぎる」にコメントしました。
たしかにこのエントリーは不思議なところがありますね。
NYのまずいラーメンが2,000円ということは、ザックリ1ドル100円として20ドルということですね。これが日本の実感として、500円くらいの価値しかないとすれば、500円が20ドルに相当するということだ。つまり、ラーメンを基準とすれば、1ドルは25円の超円高が妥当ということになります。
でも1ドル25円では我が国の輸出産業は全滅になるはず。だからおそらくは、日本の「ラーメン」とニューヨークの「ラーメン」の品質(モノ)が違う、ということではないでしょうか。確かに、購買力平価が成り立つのは、同じ品質のビッグマックなどを基準にしなくてはいけないのですね。
結局のところ、日本の2,000円の超高級ラーメン(庶民的な銀座アスターの「アスター麺」だって、1,600円くらいはしますからね)は、恐ろしいばかりの高品質(というか、NYのラーメンが恐ろしいばかりの低品質)という意味なのではないでしょうか。
と、いうことになりますと、我が国の人びとは安価に高い品質の料理を食している、とっても幸せな人たちということになります。日本に来れば美味しいものを安価に食べられるというわけですから、海外のお客が日本に殺到し、我が国はインバウンドで栄えるのも道理、なのではないでしょうか?
返信がついております。
Toshimi Minoura
過去30年間に起きた変化は、為替相場では1ドル=100円ほどで、あまり変わっていません。この間に、米国では4倍ほどのインフレがありました、そして名目賃金は5倍ほどになりました。
日本の物価はほとんど変わっていません。
この間に、米国の物価は4倍ほどになりましたので、実質的な100円の価値は、1ドルから25セントに下がりました。
バブルのころは、物価は米国の方が安いということで、名古屋空港からポートランド、つまり小都市間にも直行便があり、日本人旅行者で満席でした。それが、今から10年ほど前から、日本人旅行者は消えてしまい、直行便は廃止されました。
この間に、購買力平価では、中国の人達の収入は30倍以上にもふえました。これが、日本への観光客がふえたわけです。
瀬尾 雄三
Toshimi Minoura さん
たしかにビッグマック指数(https://exploring4ever.com/the-big-mac-index/)でみますと、米国の5.71ドルに対して日本は3.64ドルと、円が0.64倍程度に過小評価されていますね。0.25倍ほどではありませんが、民主党政権時代の激烈な円高であった時の為替水準が妥当である、ということかもしれません。
もちろんこれでは、我が国の輸出産業は壊滅し、石油をはじめとする必要物資の輸入もままならないことになる。焼け野原再びとなってしまいます。そして、もしかするとこれが本来の我が国の先端産業の実力であるのかもしれない。
なにぶん、日本は情報革命に完全に乗り遅れ、ホワイトカラーの生産性は極めて低い。一部の企業に既得権益を持つ正社員層が、おのれの生み出している価値をはるかに上回る給与を得てしまっている。この既得権益を維持しようとする勢力が力を持つがゆえに、生産性は向上せず、新しい産業も育たない、ということかもしれないのですね。
そして恐ろしいことには、この手の無理な状況が、もしも現実にあるのだと致しますと、いずれこれは覆らざるを得ない。それが我が国とその国民に対する壊滅的な打撃とならないようにするためには、それ以前から、マイルドな形であるべき姿に修正するようにもっていかなければいけないのですが、果たしてこれは可能でしょうか。これは、かなり悲観的としか思えないのですが、、、
Toshimi Minoura
Yuzo Seo さん
購買力平価は現在の通貨の価値をあらわします。これにたいして、為替相場は通貨の需要と供給により決まります。これには将来の通貨の価値も組み込まれます。
例えば、日本経済が好調であった1980年代か1990年代の前半までは、日本製品はどんどん輸出されていましたので、その代金として得られた海外通貨を日本円に換えて日本へ還流する必要がありました。そこで、日本円の需要が増えて、円高になりました。
逆に、米国の国債の利子が上がると、日本の銀行も米国債を買って利ザヤを稼ごうとしますからドル高になります。しかし、米国でインフレが予想されますと、ドルの実質的は価値は下がることが予想されますから、ドルは売られ、ドル安になります。
私は、こうした理論は理解していますが、私の予想があたらない事には自信があります。
実は、株の取引きでも、サルにデタラメに売り買いさせると、専門家と比べて、上位1/3に入ることが分かっています。米国の Vanguard という会社は、この考えにもとづいた Index Fund というものを作り大きく成長しました。
瀬尾 雄三
Toshimi Minoura さん
ビッグマック指数が表している通貨の価値は、1ドル70円台が妥当ということですよね。これに対して、金融政策で1ドル100円台の交換比率としている。そして、ドル円をこれ以下として、たとえば1ドルが70円台に接近する(実際の価値に見合った為替レートになる)と、我が国の輸出産業は成り立たなくなる。これが冷徹な事実であるわけです。
こういった輸出産業は、大企業が多く、多数の正社員(そのかなりの割合は「働かないおじさん」)を抱えており、ホワイトカラーの生産性が非常に低い。電機自動車などの我が国の輸出産業が成り立っているのは、実は、実力以外の要素である金融政策のおかげであって、我が国の強い産業とは、実はこれらの先進的技術に支えられた産業ではなく、飲食業や観光業といった産業だったのではないか、という衝撃的事実があるのかもしれない、というのが、このエントリーをめぐる一連の議論の気づかせてくれるものなのですね。
我が国の強い産業は、端的に言えば「ラーメン」だ、という衝撃劇事実であり、我が国の自動車産業が強い競争力を持っているように見えるのは、金融政策に目をくらまされているだけの話で、これらの産業は、ホワイトカラーの低い生産性や、情報技術の利用の遅れにより、すでに(ビッグマック指数が示している)妥当な為替水準での国際競争力は失われてしまった、ということですね。
テスラに時価総額で抜かれているトヨタは、日本人が見れば超優良企業なのですが、実は内部では相当な無理をしており、日本社会の宿痾であるホワイトカラーの生産性の低さと情報技術の遅れに冒されて未来を失ってしまっているのではないか。少なくとも海外投資家はそのように考えているかもしれない。上の議論で浮かび上がるのは、まさにそういうことでしょう。これが事実でないことは、まったくのところ、祈るしかありません。
そうおもうなら、ベトナム人もこなければいいのにね