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Go!Go!近隣窮乏化

池田信夫氏の6/13付けアゴラ記事「黒田総裁の最後のギャンブル」へのコメントです


自国通貨安政策は、別名を近隣窮乏化政策といい、自国の産業が栄え、近隣諸国の産業を破壊する政策なのですね。

これが逆の形で起こったのがプラザ合意以来の円高時代。中でも民主党政権時代は、自国窮乏化が進み、輸出産業は海外に逃避し空洞化が進み、追い出し部屋などが話題になる。

そんな時代にも我が世の春を謳歌する人たちはいたわけで、キャッシュを積み上げたリタイア層などは、輸入品や海外旅行で高い円の恩恵にあずかった。それでよいのか、と私などは思ってしまうのだが、、、

野口悠紀雄氏は国内産業が甘やかされる点を円安の問題点としておられますが、国内産業が厳しい環境に置かれて、では、構造改革に乗り出していたかといえば、内部留保を積み上げていただけ。

ここは、円安のトレンドが確かなものであるとの見通しを日本企業に持ってもらうことが肝要で、そうなれば、国内産業の興隆、雇用機会の増大、賃上げと、良い循環につながるはずなのですね。こちらを期待しましょうや。


以下はブログ限定です。

まずは、為替チャートです。下図の赤字と赤矢印は私の追記です。

「円安のトレンドが確かなものであるとの見通しを日本企業に持ってもらうことが肝要」など上には書きましたけど、これには相当な時間がかかりそうで、政府にも経済政策で後押しをしていただく必要がありそうです。

何をすればよいかといいますと、基本的には、国内投資を活発化すること。中でも、工場の新設など、雇用を伴う投資が望まれますし、将来の拡大が期待される先端産業が分野としては好ましいのですね。以下、いくつか具体的に考えてみましょう。

まずは、EV。電気自動車関連投資に補助金を出すこと、雇用が拡大するなら、これにも補助金を出せばよい。自動車のガソリンから電気へという流れは、国際的にも大いに推奨されておりますから、誰からも文句は出ない。円安の傾向が続けば、国内生産も十分にペイするようになります。まずは、制御回路やモータなどの難しい部分を国内生産するようにすれば、国内の技術向上にもつながるはずなのですね。

もう一つは、半導体産業でして、こちらは、現在の半導体製造拠点が中国、台湾、韓国に偏っている点が大問題です。一朝事あるときに半導体の入手が問題となることは目に見えており、セキュリティという面からも、我が国の半導体製造能力を高めておく必要があります。こちらも、新設に補助金を出せば、多くの半導体メーカの新規ラインの投資への決断を後押しすることになるはずです。

電力の安定供給という分野でも、いくつかの候補は考えられます。一つは、日本を縦断する電力ケーブルで、電力不足に陥った地域に他の地域から電力を融通する。これに、できれば超電導ケーブルを使いたいところです。もう一つは電力の蓄積で、超電導のラインにも電力蓄積設備を繋いでおきたいところです。電力蓄積技術も、いくつかの候補を募り、並行してパイロットプラントを作ればよいのですね。実際に運用すれば、その優劣は一目瞭然、改良すべき点も種々露わになるでしょう。

超電導も、ニオブ系の古い材料の他に、酸化物系(イットリウム系、ビスマス系の二種類)、二ホウ化マグネシウムの3種類の高温超電導素材をテストすればよい。ある程度の規模のニーズがあれば、これらのメーカ(Y系:フジクラ、Bi系:住友電工、MgB2:日立)も研究開発投資ができて、技術の完成度を上げることができるはずなのですね。そしてこれを冷却するシステムも、関係する各社に適宜割りあてればよい。ある程度の規模の投資がなされるなら、関係する各社は設備を準備し、要員を配置することになるでしょう。

その他、先端技術で投資が必要な分野はいくつかあります。AIやビッグデータということになりますと、巨大なサーバーが必要になるわけで、政府が資金を提供してサーバーを作り、これを研究用として開放するとともに日本企業に使わせることもできるでしょう。コロナで問題になったワクチンの開発は、関連する研究機関を拡大する、大学の要員を増やすなど、いろいろな手の打ちようがある。あ、核融合関連技術や、国防関連の技術開発も忘れずに手当てしていただきたいところ。

まあ、この手のテーマは、ひとたび公募をすれば山のように出てくるはず。あとは、効果の大きなものの選定と、大きな効果が得られるだけの予算規模で、政府のやる気を見せるだけです。

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