藤枝一也氏の7/3付けアゴラ記事「SDGs関係者の皆様、猛暑は気候変動のせいなのですか」へのコメントです。
2050年のCO2排出ゼロは十分可能だし、30年代に半減することも、ここにきてありそうな情勢となっております。
これは、核融合の実用化が、元々は2050年ごろと見込まれていたのですが、核融合技術に取り組むスタートアップがあちこちに誕生し、2030年代の実用化を目指し始めたからなのですね。
核融合技術に関しては、実は我が国は、非常に高いレベルにある。その果実をむざむざ海外のスタートアップに渡してしまうのは愚かなこと。ここは我が国独自の取り組みも、早急に始めなくてはいけません。
あ、ITERはもちろんやるとして、ここで狙うべきは核融合2.0とでもいうべき技術ですよ。これをものにして、さらに周辺の技術もきっちり確保したら、我が国は怖いものなしとなります。
がんばりましょう!
以下はブログ限定で、核融合に関する最近のこのブログエントリーをご紹介しておきます。
5/25:日本もエネルギー戦略を!
核融合2.0とでもいうべき J. Plasma Fusion Res. Vol.98, No.2 (2022) の小特集「先進燃料核融合研究の現状と展開」はこちらです。
ふうむ、、、2D + 3He → 4He + 1p + 18.35 MeVで生成するプロトンを1p + 11B → 3 4He + 8.68 MeVに使う手もありそうですね。この場合、2D + 3He + 11B → 4 4He + 27.03 MeVとなる。
この反応、重陽子Dとヘリウム3の反応で生成した高エネルギーのプロトンを11Bと反応させるのがミソで、高温度が必要なp11B反応を比較的簡単に発生させることができる可能性があるのですね。
この反応はDT反応と異なり、高エネルギーの中性子が発生せず、炉壁を痛める心配はない。短所といえば、ヘリウム3が必要であることで、これは、高速増殖炉などで別途トリチウムを作り、このβ崩壊により生じるヘリウム3を集めるしかなさそうです。でも、ヘリウム3は、放射性をもたず、安全に取り扱うことができますから、核融合発電施設の安全性が高いという利点はあります。(ヘリウム3製造施設はかなり危ない施設ですけど。)
TAEのような新規な炉構造を用いずにトカマク型でやるとすると、おそらくは、p11B反応に必要なエネルギーの調達が難しくなりそうで、これにD3He反応を用いるのは悪くないアイデアであるような気がいたします。これに高速増殖炉が必要となる点も、すでに作ってしまった原子炉や使用済み核燃料の処理を考えれば、いずれにしても必要な施設であり、これをヘリウム3製造に使うというのは、悪くないアイデアでしょう。
いずれにせよ、我が国独自の核融合を狙うのであれば、このくらいの新しい着想でやらなくてはいけません。もちろん、他にもいくつも手はありそうですけど、、、
動かない