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なるようになる、開かれた市場

岡本裕明氏の8/16付けアゴラ記事「TSMC熊本上陸に始まる世界標準という黒船:外資が優秀な学生を根こそぎ持って行く日」へのコメントです。


優秀な学生を能力主義の外資が根こそぎ持って行ってしまう。これは、能力を処遇に反映しない企業にとっては困ったことかもしれませんけど、優秀な学生が能力主義の企業を選ぶということ自体は、素晴らしいことだし、優秀な学生にとってもそのような選択肢が提供されていることもよいことであるととらえなくてはいけません。

そもそも、能力に目を向けずに横並びでやってきて、先端産業が国際競争に勝てると考えることがおかしい。よく今までやってきたものだと思います。まあ、実際のところは、GDPも伸びず、給与総額も(成長を続ける諸外国を尻目に)全然伸びない。日本は低開発国への道を一直線に進んできたのですね。

今年の5月に経産省がまとめた「未来人材ビジョン」の33ページ以降を見ると、このあたりの絶望的な状況がわかります。日本人はやる気がないし、ここで働き続けたいとも思わない、でも転職をしようとも思わず、起業しようとも思わない。スキルの陳腐化は意識しているけど、企業は教育をせず、社員も学ばない。末期的です。

結局のところ、このような現象が生じているのは、労働市場の硬直化があるからで、より人材を流動化させる政策をとれば、優秀な人材は駄目な会社から良い会社に移動するだろうし、高収益企業はより良い処遇で優秀な人材を集めるようになる。そして、良い処遇を得ようと、社員は己のスキルアップに努める。

何をしなければいけないかわかっているし、何もしなければどうなるかもわかっている。だけど誰も何もしない。なぜそんなことになるかといえば、人材の流動化が起これば真っ先に首を切られるのは俺たちだと考える人が、今の日本社会の中枢に多くいるからではないかな? 真実とは、たぶんそんなところにあります。

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