中村仁氏の9/6付けアゴラ記事「円安加速で『日本円の葬送行進曲』を奏でる日銀」へのコメントです。
何か円安が悪いことでもあるかのような書き方ですけど、じつは、日本経済に害があるのは円高なのですね。そりゃ、一国の経済力が1ドル110円にふさわしいものであるならよい。でもわが国は失われた30年を継続中で、ホワイトカラーの生産性もやる気も世界で最低の水準。GAFA絶好調の米国などと比較してはいけません。
何が起こっているかを正確に把握するためには、まず、ドル円の長期チャートを見るのが良いでしょう。1970年代の日本は、絶好調の自動車産業、電機産業などに支えられて輸出を伸ばし、1979年にはジャパン・アズ・ナンバーワンなどという書物まで出版される絶好調だったのですね。それが、1985年のプラザ合意により、2年ほどで1ドル250円から150円を割る円高水準にシフトしました。https://ecodb.net/exec/trans_exchange.php?b=JPY&c1=USD&e&s=&ym=Y
その結果生じたのが不動産バブルと、1990年のバブル崩壊、そして日本企業は一気にビジネスをシュリンク、就職氷河期が到来しました。時を同じくしてPCの性能向上とLANの普及により業務プロセスを見直し(BPR)、ホワイトカラーの生産性向上が可能となったのですが日本ではその導入がためらわれた。
2010年前後の民主党政権下では、行き過ぎた円高により我が国の製造業が海外に脱出、空洞化が進みました。そして残ったのが失われた30年と我が国のイノベーション環境の劣化であったわけです。これを直すにはいったん円安に大きく振って、産業構造を元に戻すしかない。荒療治だけど、他に日本を救う手立てはないのではないでしょうか。
以下は本ブログの出しているドル円チャートです。こちらもご参照ください。
こちらに高橋洋一氏の解説が掲載されております。円安は日本に有利であると。当然の話です。
日本国内で円安批判が出ることを「不思議ですね」としているのですが、我が国のジャーナリズムは、韓国、中国の国益を重視する傾向がありますので、「近隣窮乏化」などと呼ばれることもある円安に大いに批判的なのは理解できます。
問題は、我が国の国益を重視する人たちまでが円安批判をしてしまう。ステータス・クオ・バイアスの故ではないかとも思いますが、円安を批判する人たちは、経済というものがよくわかっていないのではないか、という印象も受ける次第です。大丈夫でしょうか?
と、いうわけで、以下の自己フォローを入れておきました。
自己フォローです。
音喜多氏のアゴラエントリーが高橋洋一氏の解説を引用されています。10%の円安はGDPを1%改善する効果があると。https://agora-web.jp/archives/220902093550.html https://news.1242.com/article/367183
高橋氏は円安のまたの名を「近隣窮乏化」であって日本には有利なはずなのに、円安批判の声が多いことに疑問を呈しておられます。
なるほど、それなら何となく理由がわかります。我が国のジャーナリズムには、中国、韓国びいきの傾向が強いですし、評論家諸氏にもそういう人が多い。そういうわけだったのか! というわけです。
まあ、最後の気づきは外しているかもしれませんけど、、、
まあでも、近隣諸国からの円安批判が出てこないようにするためには、あまり「円安ハッピー」などというムードは煽らない方が良いかもしれませんね。
円安、全く困ったものです、ということにしておきましょうか。そして、ここは大いに検討する。検討だけは盛大にやる。それが我が国の国益にはもっともかなう道だと思いますよ。後世の人は、これをキシダノミクスと呼んで高く評価するのではないかな? これは真面目な話です。皮肉ではありませんのでご注意ください。
こんなご意見も。
Atsushi Hirai
瀬尾さんと、全く同じ意見です。