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夢の核融合への日本のかかわり

野口修司氏の12/17付けアゴラ記事「夢の核融合エネルギー」へのコメントです。


日本も、いろいろな形で核融合にはかかわっておりますので、この分野の研究開発は積極的に進める必要があるでしょう。ここでご紹介されている、レーザ核融合も、大阪大学の「激光」や、その流れをくむスタートアップなど、我が国にこれに取り組む動きもあります。

でも、本命は磁場閉じ込め型で、我が国がかかわっているのは、国際的な取り組みであるITER(イーター)で、日本はこれに、加熱用のマイクロ波発生管を供給するなど、重要な役割を果たしております。

でも、これらはいずれもDT反応、つまり重水素とトリチウムを核融合させるというもので、トリチウムの安全な取り扱いが我が国に可能かどうか、万一漏れた場合の回収が可能であるのか、またトリチウムを扱う設備の建設に地元理解が得られるか、等の問題があります。福島のトリチウムに関して、大いにマイナスイメージを振りまいておりますので。

簡単に反応を起こすためには、トリチウムが必須で、一番乗りしてノーベル賞などと考えるとトリチウムを使うことになるのでしょうが、工業的な容易さを考えると、核融合2.0などと呼ばれる他の手法が有力ではないかと思います。

一つには、トリチウムの代わりにヘリウム3を使う方法で、月面のヘリウム3の採取を中国が計画しておりましたが、トリチウムをためておけばヘリウム3になる。もう一つの方法は、陽子とホウ素11を反応させる方法で、米国のTAEテクノロジーズなるスタートアップが検討中。こちらは、損失となるシンクロトロン放射を積極的に起こしそのマイクロ波から直接電力を得る意欲的な試みです。これにも日本人研究者がかかわっているのですが、こちらは、日本の抱えた問題であるとも言えそうです。https://wired.jp/2020/03/29/tae-technologies/


返信がついております。

Es Noguchi

早速のご意見を誠にありがとうございます。いろいろ教えて頂き感謝申し上げます。

①この拙稿の理由の1つは30年ほど前の日本の思い込み。取材の切っ掛けの1つは以下です。当時、NIFの研究を日本の大学教授など専門家と言われる人々が「米国は核融合エネルギーとか言って新型核兵器を作っている。国際社会にウソを言っている」と主張したことです。全くの無知、事実を知らないのが日本(一部の専門家)でした。調査報道記者として事実はなにか?それを探りました。結果は書いた通り、核融合も核分裂の違いも大して分からず、米国が核兵器開発に関して、ウソをついているという(一部でも)日本の思い込みが分かりました。

②イーター計画の始まりは、85年の米ソ首脳会談です。政治的な対立を乗り越えて人類の未来を見据えてスタートしました。現在米露はもちろん、ご指摘のように日本、中欧印韓も関わっています。茨木とドイツに作業現場があると聞きました。レーザー利用か磁場閉じ込め型か、どちらが本命か小生には分かりません。しかし過去60年以上継続、今回の米エネルギー省の喜びを取材すると、磁場が本命かどうかは断言できないように思えます。もし本当に本命でないなら、貴重な血税を使うことはしなくなるからです。さらにご指摘のスタートアップだけでなく、幾つものプロジェクトが国際的なリソースを使って米国内で動いています。当然、核融合エネルギーの将来性を見据えた動きです。勝者が誰かみものです。

③トリチウム(T)の日本でのイメージ。おっしゃる通りですね。拙稿にも書いたように、小生はサヴァンナリヴァー研究所にも複数回訪問取材しました。一回は東電のチームとも一緒でした。そこでTの実際の扱い方をこの目でみました。水素と基本は同じ、水の中に含まれている状態で、分離は非常に難しい。原発関連施設から出たものは、海洋放出など、比較的簡単な方法で、ほぼそのまま自然界に出していました。放射性物質の扱いで世界最先端をいっている米国でそんな扱いです。欧州でも似たような取材をして、日本がやっているようなことまでしないことを学びました。アルプスですか、あの装置には米の専門家はなんでそこまでやるの?と目を丸くしていました。日本における非常に危険なものというイメージは誤解としか言いようがない。どうしてそのような思い込みがまかり通るのか、メデイアの責任も感じます。核融合炉から離れますが、フクシマ事故に関して、似たような科学的な根拠が薄い噂が広がる日本は、血税浪費など、国益を損なうと感じています。


瀬尾 雄三

ローレンスリバモア研究所が平和主義者かといえば、どちらかといえば軍事に直結した研究をしているのではないかと思いますよ。大出力レーザにしたところで、ビーム兵器になりますから。パイロットの目を狙って失明させるのが最も効率的なのですが、さすがにこれは非人道的ということで禁止されたはずですが、ミサイルを打ち落とす技術としては、これもアリだと思います。

研究開発の初期においては、テーマを絞らず、間口を広くしておくのが鉄則で、米国はレーザ核融合の可能性を喧伝した結果、ITERから降りてしまった。これは、失敗であった可能性もあります。ただし未だ、どの方式が本命かは決まっておりません。DT反応は手軽だけど、中性子が炉壁を損傷する問題があり、荷電粒子を生じるD3HeやP11B反応が注目されております。

トリチウムに関しては、分離技術は既に存在し、重水炉中に生成するTの分離は既に工業的に行われております。福島汚染水に関してもT分離検討が行われ、可能性を実証したことが、T分離タスクフォース報告書のP53やプラズマ・核融合学会誌2016年の小特集「トリチウム分離・濃縮技術」P39-44などに紹介されております。https://www.meti.go.jp/.../tritium_tusk/pdf/160603_01.pdf http://www.jspf.or.jp/.../PDF_JSPF/jspf2016_01/9201SPall.pdf

問題は、これをできないとしてしまい、日本人の多くがこれを信じてしまうと、トリチウムを用いる核融合施設の建設が難しくなること。どのみちプロセス内部で分離が必要なら、この手の技術を蓄積しておくことは無駄ではないのですが。

とはいえ、実利をとるなら、中性子を生じない核融合2.0が有望で、TAEテクノロジーズの技術などが注目されるのではないか、と個人的には考えております。

別のスレッドが発生しました。

Es Noguchi

瀬尾さま、さらなる返信を感謝。

小生は世界中で、英語(仏も)で議論をして40年、それで食べているプロの調査報道ジャーナリストです。日本人では慣れていない人も多々いますが、小生は議論のルールを知っております。

①「平和主義者かといえば、どちらかといえば軍事に直結した研究をしているのではないかと思いますよ」引用終わり。よく読んで下さい。小生は同研が平和主義者などとは一言も言っておりません。論点は以下。貴兄は万が一にでも違うと思います。30年くらい前、勝手な思い込みで、「NIFが核兵器開発と同じ」だと書いた日本人大学教授がいたということです。NIFは基本的には核兵器ではありません。なのに、日本にいて、多分他人が書いた、殆どが日本語のソースを元に、「思い込み」を言う人がいることを指摘したのです。悲しいことに、他の分野でも、相手の担当者と直接交信などしないため、思い込みや決めつけは、本当によくあります。世界で誰も読まない日本語だから、日本だけで通用すると思います。それらの専門家ごときは、直接一次論文にも当たらず、研究者との交信もしない。思い込みで、ものを書いたり言ったりする大学教授クラスが日本にいるのです。

②リバモア研が平和主義かどうか?小生の母校の一部といえる研究所です。何度も訪問して、研究者とも直接話し、論文も読んでいます。貴兄はリバモア研について詳しいようですね。貴兄は同研に何回行って、研究者の誰とやり取りをしましたか?小生は同研を、ヒロシマ原爆開発のロスアラモス研と「双璧」と書きました。核兵器関連研究で、同研はサンデイアとおなじくらい大きな役割を果たしています。だからPU発見のシーボーグ博士のことも書いたのです。

③平和主義かどうか?その論点だけでもあまり意味がないと思います。そもそも、「平和主義者」とはどういう意味ですか?核兵器開発しているから平和主義者ではない?まずは日本人の多くがこれは軍事とか非軍事(民生用)とかいう。分かっていない。軍事と民生利用技術の一線など引くのは難しい。小生はアゴラで別に書きましたが、軍民両用技術はご存じですね?小生は開発者に直接対談もしましたが、インタネットも軍事技術だった。さらに、考え方ですが、核兵器が抑止力として平和をもたらすということも言えるのです。短絡的に核兵器の研究をしているから平和主義ではないとか、簡単には言えないのです。安全保障に疎い日本にいると理解できないかも知れません。日本以外の世界の常識です。

④さらにリバモアの研究は多岐に渡っています。機密扱いもたくさんあります。多分、貴兄は直接訪問もしていない、所長や主任研究員と直接議論もしていないと思います。(違っていたら謝りますが、書いた内容をみたらまずあり得ない)。それなのに、あたかも全部知っているかのごとく「どちらかといえば軍事に直結した」と言えるのですか?繰り返しですが、軍事かどうかの定義も難しいし、ロスアラモスと同じように日本人の目からいうとですが「非軍事」の研究も、凄く多いのです。

⑤「ビーム兵器」「禁止された?失明兵器」「ミサイル撃ち落とし」引用終わり。「ミサイル撃ち落とし」などは特にありそうですね。だが米が力を入れているレーザー核融合が、上記の兵器利用につながるという指摘ですか?教えて下さい。査読前でもいいです。同研が出したどんな論文がありますか?研究者は誰ですか?交信しましたか?問い合わせます。

⑥「レーザ核融合の可能性を喧伝した結果、ITERから降りた」これは誰のなにを元にしているのか、教えて下さい。基本的にITERから手を引いた理由は、政治的なものも含めていろいろ言われています。10種くらいの要因があるはずです。レーザー可能性の喧伝?それが理由ですか?どこの誰に確認しましたか?書いたように、半世紀以上、レーザー利用研究を米はやっています。それまでも、それ以降もいまも、いろいろな暗中模索をやっています。国内の予算獲得などではあり得るが、科学は喧伝など意味がない。この種の議論と同じ、論理と証拠(結果)です。

⑦フクシマ事故のTの扱い。技術があるか、できるかどうかが小生の論点ではありません。書いたように、気が遠くなるような時間と血税を使ってやる必要があるのかどうかです。米国はもちろん、欧州の殆どで、日本のレベルまでやっていないはずです。大した努力もせずに、海洋放出か、見ましたが竹林放棄です。確か日本でも他の原発では海洋放出していたと思います。以下、横道で、核融合炉エネルギーとは関係ないが一応ついでに書きます。そもそも40年で廃炉できるとか、更地・緑地にするとか、燃料デブリ取り出しができると思っていることがおかしいです。まあ、米国は水素爆発3-4日でメルトダウンを知ったのに、日本は3週間くらい必要だった。それをみてもおかしいことが分かるはずです。野口修司


瀬尾 雄三

私を発明者とする特許検索を掛けて頂けばすぐにわかると思いますが、かなりたくさんある私の発明の少なからぬ部分がレーザを利用したもので、ロスアラモスの方ともお話したことはあります。何を話したかは、明らかにできないのですが。

> 当時、NIFの研究を日本の大学教授など専門家と言われる人々が「米国は核融合エネルギーとか言って新型核兵器を作っている。国際社会にウソを言っている」と主張したことです。全くの無知、事実を知らないのが日本(一部の専門家)でした。

この文章の中の「新型『核』兵器」の部分は誤解があるかもしれませんが、大出力レーザの研究が軍事研究と無縁であるわけはありません。それどころか、核融合研究と水素爆弾の実験的検討は非常に近いところにある。何をしているかは、もちろん極秘で、外部からはうかがい知ることはできないのですが、この部分の重要性は、ビキニでの核実験の失敗(予想以上の大出力)からもご理解いただけると思います。以下のような文書がネット上では参照できますが、これは全くのフェイクということでしょうか? ちなみに、ITERとの関係についても一部触れ得られています。 http://akitakabe.news.coocan.jp/kaigaiinshouki/06-/08.3.pdf

トリチウム水の放出に関しては、プロセス排水に係る議論と、廃棄物の海洋投棄に係る議論は、別物であるという点を理解しなくてはいけません。水に薄めればどんな廃棄物も海洋放出できるというのでは、海洋投棄規制はざるになってしまいます。


Es Noguchi

「本命は磁場閉じ込め型で、、」「ただし未だ、どの方式が本命かは決まっておりません」引用終わり。なにが本命なのか、貴兄の論点が良く理解できません。まずは、なにか主張する前に、議論の基本から勉強なさることをお祈りします。さらに、断言はしていませんが、米の判断が失敗のようにも思える、、的な論点。米国の研究力、底力、これも勉強なさると良いと思います。米や世界で研究なさったことありますか?書いたように、小生自身はまだ本命がなにか、判断はできません。しかし米国には世界中からの英知がやってきます。半世紀やっていて(もしそうならばですが)致命的な判断ミスを米が冒すとは思えません。


瀬尾 雄三

小学生の喧嘩じゃないのですから、言葉尻をとらえた議論は慎みたいと思います。ドナルド・デイヴィドソンのの「寛容の原理」を参照されたら良いのではないかと思います。https://d.hatena.ne.jp/.../%E5%AF%9B%E5%AE%B9%E3%81%AE%E5...

核融合の「本命」に関しては、ロスアラモスが慣性閉じ込めを発表した当時、これが核融合実用化に非常に近いところにあるとの受け止めがなされ、米国も磁場閉じ込めから慣性閉じ込めに大きく舵を切りました。(「撤退」という言葉は正確ではないですが。)

しかしその後、磁場閉じ込めが本命視され、米国の慣性閉じ込め集中は間違いではないかと思われたのですね。ただし、ここまではDT反応中心に考えられており、核融合一番乗りを目指すにはこれしかないのですが、工業的経済性その他を考えると、他の方式が本命ではないかと考えられております。

一つには、トリチウムは放射能があり、徐々にヘリウム3に変化してしまうこと、DT反応は高エネルギー中性子を生じ、これが炉壁を傷めることが欠点です。そういう意味では、D3He反応や、TAEテクノロジーのP11B反応(陽子とホウ素11の反応)などを利用する方式が、将来の核融合技術になるのではないかと、私には思われるのですね。「本命」も、一つではない、というわけです。

その他、次のURLもご参照ください。米国の慣性閉じ込め技術が軍事研究(水素爆弾開発)と密接に結びついていた事情も語られております。http://plasma-fusion.energy.kyoto-u.ac.jp/.../shiryou1.pdf


瀬尾 雄三

すみません、訂正です。

ロスアラモス→ローレンスリバモア

失礼いたしました。


以下は、私のコメントを含まない、独立したスレッドですが、野口氏のご要望により以下掲載いたします。

Es Noguchi

言葉尻を捉えて?やはり貴兄は国際的な議論をしたことがありませんね?こんな論理力・議論力では、英語でも仏語でも通用しない。小学生のレベルにも達していない。世界では馬鹿にされるだけ。NIFを核兵器と書いた大学教授と基本が同じ。根拠がないのに、裏も取らず、他人が書いたことを元に想像を膨らませつつ、日本語だけで「思い込み」「決めつけ」を言いたい放題。例えば今回のケースではリバモア研のことを書きながら、ご自身では直接はなにも調べていない。具体的な小生の主張にも直接反論できない。小生はプロ、専門家と議論したかった。

この手の捨てぜりふ的なコメントは、基本的に掲載しないことにしているのですが、今回はご本人の要望がありますので、掲載することといたします。

別コメントでも書いたのですが、私はかなりの期間レーザ加工の研究に従事してきたのですが、こういうことをやっておれば、関連文献は追いかけるし、レーザ光源のメーカとも頻繁に打ち合わせをしてきたわけで、大出力レーザに関する情報は、相当量把握してきたのですね。

そういう私から見れば、ここに書かれてきたことには、相当な間違いがある。少なくとも、常識的に知られた事実の一部の隠された、ローレンス・リバモアサイドの宣伝に近い文書であり、読者に誤解を与えかねない。そう感じたがゆえに、常識的な事柄について、補足説明を追加したつもりです。

いずれにせよ、この手のコメントを評価するのは読者であり、一定の知的レベルにある読者は、書かれた内容で理解するものであり、書いた文言通りに受け取ってくれる保証など全然ない。さすがにこの直上のコメントは、少しでも学術論文を書いたものなら、その程度を判断することは容易であろうと考えて、アゴラ側への反論もあえてせず、このエントリーへの掲載も見送ったものです。

ローレンス・リバモア以外の研究者のご意見を聞かれることをお勧めします。

こんな情報もあります。

2 thoughts on “夢の核融合への日本のかかわり

  1. 野口修司

    こちらのコメントも載せて下さい。以下を書いています。***言葉尻を捉えて?やはり貴兄は国際的な議論をしたことがありませんね?こんな論理力・議論力では、英語でも仏語でも通用しない。小学生のレベルにも達していない。世界では馬鹿にされるだけ。NIFを核兵器と書いた大学教授と基本が同じ。根拠がないのに、裏も取らず、他人が書いたことを元に想像を膨らませつつ、日本語だけで「思い込み」「決めつけ」を言いたい放題。例えば今回のケースではリバモア研のことを書きながら、ご自身では直接はなにも調べていない。具体的な小生の主張にも直接反論できない。小生はプロ、専門家と議論したかった。野口修司

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