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最先端:「昭和式経営」

谷本真由美氏の1/5付けアゴラ記事「2023年は『昭和スタイルの熱血経営』が最先端になることを日本人は何も知らない」へのコメントです。


昭和の終わりごろ、1970年代の後半から80年代にかけて、日本式経営が注目された時代があります。XXレシオに代表される数値重視の欧米のMBA流経営思想に代わって、顧客満足度やブランドイメージなどの感性的要素の価値が再認識され、従業員満足度、家族的経営などまでが評価された時代があったのですね。

一方で、ヴィトゲンシュタインの論理実証主義、あるいはプラグマティズムに代表される言語化された情報を論理的に扱う理性重視の考え方から、禅に代表される、言語化以前の知覚情報を重視する東洋的な発想も同じ時代に広がり、これがヒッピームーブメントを通して、音楽や情報技術へと拡大していきます。

全地球カタログを高く評価したスティーブ・ジョブズやウッドストック音楽祭の再現をトライしたウォズニアックの率いたアップルはその代表例といえるでしょう。

近年の経営の世界でも、PDCA(Plan・Do・Check・Action)からOODA(Observe:観察・Orient:状況判断・Decide:意思決定・Act:実行)や、ソニーが提唱したとされ富士フイルムが採用して大成功を収めたSTPD(See:事実を見る・Think:考える・Plan:計画・Do:実行)などへの移行が注目されます。新たに追加された最初の二段階(OO、ST)は、計画以前の状況観察で、ここでは論理化以前の直観的、感覚的情報処理が重要視されるのですね。

論理の限界を指摘し、論理化以前の知性(悟性:アンダースタンディング)を重視したのは200年以上も昔のカントでした。彼の著「純粋理性批判」は、よく売れてはいるのですが、ほとんどの人の理解を超えており、あまり世の役に立っているようには見えないのですが、それでもその方向に徐々に世界が変化しているのは、驚くべきことであるように思われます。この先も、いろいろな形で、この動きが継続するのではないでしょうか。

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