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給料上がらん:なぜ?と5回聞け

城繁幸氏の1/26付けアゴラ記事「賃上げって気合いとかポエムでどうにかなるものなの?と思った時に読む話」へのコメントです。


トヨタ式問題解決手法に「なぜと5回聞け」というのがあります。その伝で行けば、「給料が上がらないのはデフレのためだ」は正しいのですが、では「なぜデフレなのか」を問わなくてはいけない。

その答えは「経済成長率が低いからデフレになる」でしょうけど、では、なぜ経済成長率が低いのか、が問題になるのですね。実は、世界の他の国々に比べて日本の成長率は特に低い。1995年以来のGDPの伸びはほぼゼロ、これでは給料が上がるわけもありません。では、「なぜ我が国の経済成長率が低いのか」が問われるのですが、実は米国経済の成長を支えているのがGAFAに代表される情報関連企業。我が国は、1990年代の情報革命に乗り遅れ、その結果、経済は全然成長しない。

問題は、なぜ日本は情報革命に乗り遅れたのか、ですが、事務系職員の数理的能力の低さが一つの要因であり、固定的な雇用や業界構造が変化への対応を困難にしたともいわれております。今からでもこれらを改善することで、我が国は急速に海外にキャッチアップできるのではないかと思います。

実は、1769年のジェームスワットの蒸気機関発明に始まる産業革命に、江戸時代の我が国は完全に乗り遅れていたのですが、明治に入って急速にキャッチアップすることに成功しております。同じことをやればよいのですが、たとえば情報技術を使いこなしてビジネスプロセスを見直すと、事務職の生産性は一桁上がるといわれております。事務系職員の9割が職を失うと社会問題になる。その受け皿を作ることも、同時に考えなくてはいけないのですね。

結局のところ、日本国内に、組み立て産業などの雇用を増やすしかない。これには、民主党時代に海外に逃避した工場を国内に戻すしかありません。これには、税制や補助金という手もありますが、金利を下げて円安にするのが最も効果的。低金利は、工場建設の資金も借りやすくなるというメリットもあるのですね。5回目の「なぜ」の答えは、おそらく「このあたりをさぼっているから」じゃないかな?


返信がついております。

Takeshi Matsuki

もうひとつ「なぜ」を加えると、事務職の効率が上がらないのは、クビを切れないからに行き着きます。

インターネットが始まる時期に、本質を理解した人事担当役員に情報化を進める企画部にいた私は釘を刺されました。

「元人事部員なら分かっているだろうな。人余りをどう処理するかを考えずに、嬉しがって効率化を進めるな」 こりゃあ、もうダメだと思いましたよ。


瀬尾 雄三

Takeshi Matsukiさん

> もうひとつ「なぜ」を加えると、事務職の効率が上がらないのは、クビを切れないからに行き着きます。

だからこそ、まず、国内に仕事を作ることが大前提となるのですね。情報技術が急速に進化した1985年以降の日本に起こったことは、この真逆の状況で、激しい円高により国内の工場が海外に逃避してしまった。最終的にとどめを刺したのが2009年から2012年までの民主党政権時代、「空洞化」と「追い出し部屋」がこの時代を象徴する言葉となりました。

それがわかれば、対策は簡単。円安にすればよい。円安にすれば円高と逆の現象が起こります。国内工場の競争力が上昇し、海外の工場が国内に移転してくる。今の工場は、機械化・自動化が進んでいますから、事務職がこれら自動機の管理業務にあたることも難しくはないのですね。

もう一つに、情報革命は巨大な産業分野を作り出したという点が挙げられる。つまり、『情報産業』という新しい分野ができたのですね。情報産業に必要な人材も、事務職とさして変わらない。彼らを再教育することにより、成長分野へと人材を移動させれば、我が国のGDPも増大しようし、給与も上昇するはずなのですね。

なぜそういうことをしないのか。人間の考えることには、ステータス・クオ(現状維持)バイアスがあり、新しいことをしたがらない。でもそれは、変動する時代にあっては、愚かなことなのですね。

1 thoughts on “給料上がらん:なぜ?と5回聞け

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