池田信夫氏の2/11付けアゴラ記事「ゼロ金利とふたたび闘う植田総裁に出口はあるのか」へのコメントです。
ここでは、「統合政府(=政府+日銀)」を対象に将来の危機を検討されているわけですが、政府には「増税」という一手もありますから「日本全体(=統合政府+民間部門)」を対象に将来を見ていく必要があると思います。
この場合、日本と海外の取引が注目すべき対象となり、端的には経常収支なり、これの累積である対外債務が問題となるはず。我が国は、このいずれも黒字を続けており、さしあたり日本経済が危機的状況を迎えるリスクは小さいと思われます。
問題は、財務官僚が統合政府の収支を重視しがちで、民間部門の活力への配慮が不足気味であるということ。政府としては、国全体の経済を睨んだかじ取りが必要だし、日銀にもそれを要求しなくてはいけません。
もう一つの問題は、民間部門に関しても、国民と企業の双方を睨まなくてはいけない。経常収支が黒字でも、貿易・サービス収支が赤字では国民の給与には黒字部分が反映されず、生活が苦しくなってしまいます。現在の問題は、むしろこちらなのではないですか?
この問題を解消するには、貿易、サービス収支の黒字幅を拡大すること。これを実現する簡単な一手は円安ですが、その他にも、科学技術の振興や知財重視の政策が有効だと思います。おそらく、アカデミズムを基盤とする日銀総裁であれば、このあたりへの配慮もしていただけるのではないかと期待しているのですが。
円安