増田悦佐氏の3/12付けアゴラ記事「大不況で済めばラッキーな2020年代のアメリカ経済」へのコメントです。
労働分配率の低下は、資本家、経営者の強欲によるというのがこのエントリーの基本認識ですが、一般的には、「自動化」と「国際化」がその原因であると考えられています。
生産ラインの自動化が進みますと、少ない労働者で生産活動がおこなわれます。その一方で、FA機器やロボットの導入に伴う資本コストが増加いたします。労働者の数が減り、賃金総額が減少しますので、労働分配率は低下することになります。
一方の国際化は、国内の工場が人件費の安い海外に移転するという問題で、国内の工場が無くなりますから、国内の賃金総額は減少する。一方で、海外の工場で上がった利益は、国内に還流しますので、自国企業の利益になる。当然のことながら、労働分配率も低下いたします。
では、国内の労働者が豊かになるにはどうすればよいかということですが、国際化した時代には、国内の労働者は海外労働者との競争を避けることはできませんから、ハイスキル化を目指し、あまり高い賃金は求めてはいけない(海外と競争して勝てるレベルにとどめるべき)、ということになります。
そうはいっても、高い賃金は求めたいわけですから、ここは、ハイスキル化に専念したいところ。結局のところ、難しい仕事ができるようになること。ロボットやFA機器を使いこなすこと。情報産業のような新しい分野に出ることなどがポイントになるのでしょう。少なくとも、資本家の強欲が悪いと言ってみたところで始まらない。おのれの力で勝つしかない。これは確かなことだと思いますよ。
やさしくなければ生きていく資格がない。