岡本裕明氏の3/15付けアゴラ記事「日銀総裁、黒田時代から植田時代に思うこと:日本にインフレが戻る日」へのコメントです。
狙うべきは、景気上昇によるインフレで、これは大方の一致するところだと思うのですが、その具体的手段は何かとなりますと、この部分で大いに混乱があるのですね。
一般論としては、景気を上向かせるには金利引き下げが有効な手段であり、ならば緩和路線は継続、ということになります。しかし一方では、黒田緩和路線の軌道修正を期待する声も強い。ではどうやって景気の上昇を図るのかという点が問題になります。
もう一つの見方は、デマンドプル型とでも呼ぶべき志向性があり、輸出による景気の牽引と、内需拡大による方向性があり、輸出の拡大には為替の引き下げが有効で、そのためには低金利政策が必要となります。内需拡大には、公共投資の拡大や減税など、財政赤字を拡大する道があり、こちらも黒田路線の継続という色彩が色濃いのですね。
その他の方向としては、新しい技術の導入や、ビジネスモデルの改善による効率の向上、生産性の向上という、インプットに対するアウトプットを拡大する方向があります。具体的には、我が国の遅れております情報技術による社会システムの効率性改善や、雇用慣行の見直しによる企業官庁の生産性改善がある。こちらは、アベノミクスで出遅れていた部分で、これから取り組む余地も大きいように思われます。
その他の大きな可能性として、エネルギー問題があり、ここは、地球温暖化に対する取り組みを、我が国が世界に先駆けて見直し、これに必要な技術と機器の生産で先行すること。これらを合わせて行えば新しい道も開ける。まあ、それまでは、黒田路線の継続も致し方ないかな、というところでしょう。
円安