濱田康行氏の4/29付けアゴラ記事「衰弱する資本主義③:低いPBR」へのコメントです。
会計は、企業の経済状況を貨幣単位で表示するものなのですが、必ずしも実勢を反映しているわけではないのですね。つまり、会計数値に反映されない損失や利益がありますと、会計で計量された企業の時価と実際の価値は乖離してくる。
どういうときにこれが発生するかと言いますと、一つには含み損、含み益というのがあり、かつての取得原価主義の時代には価値が下落した不動産や株式などを取得価額で帳簿に乗せていた。これと市場価格との差が含み損となります。
最近話題の「働かないおじさん」も、企業がつかんでしまった不良資産で、会計には反映されない。働かないおじさんの多い会社は、巨額の資産を保有していてもこれを有効活用できず、将来の利益も期待できない。おのずからPBRは低くなってしまいます。
この表にあります東京電力は、実質破綻しているということでしょう。だけど、政府が何とかつぶれないようにしているということではないかな? 三井住友FGは、東電に巨額の融資をしているという背景もあります。その他、メガバンクは一律、巨額の国債を保有しており、その市場価格の先行きは、日銀の胸先三寸で、あまり明るいものではない、だけど売るわけにもいかない、という背景があるのでしょう。ご愁傷さまです。
PBRが低い会社は、改革の可能性があるなら買いもあるかもしれません。つまり、不良資産を償却できればV字型の回復もあり得る。それが働かないおじさんである場合は、ひと悶着ありそうですが、この先何か、大きな変化が起こるような予感を私は感じております。あたるも八卦、ではありますが。
働かないおじさん