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白川氏の異次元緩和批判は変!

中村仁氏の3/6付けアゴラ記事「白川前総裁が再三の異次元緩和批判、日銀史上初の異変」へのコメントです。


QE2はイギリスの豪華客船クイーン・エリザベス2の略称なのですが、白川氏が日銀総裁であった頃の米国の金融政策も、同じ略称で呼ばれておりました。ただしその意味は「量的金融緩和政策第2弾」というもので、金利に注目する従来の金融政策に対して、市場へのマネー供給に注目する金融政策であったのですね。

この時代、不動産ローンを証券化致しましたサブプライムモーゲージ危機に端を発して世界的な信用収縮(クレジット・クランチ)が発生、2008年にはリーマンブラザーズの破綻に至りました。金利操作中心の金融政策ではこの危機に対応できないと判断したヨーロッパと米国の金融当局は量的金融緩和に踏み切ったのですね。

ところが当時の我が国の白川総裁率いる日銀は、すでにゼロ金利となっていた不幸もあったのですが、欧米のような積極策には打って出られなかった。その結果、ドル円が80円を割り込む極端な円高に至ってしまった。

当時の我が国のもう一つの不幸は、民主党政権時代と重なり、経済音痴の暗愚三代宰相には有効な対策を打てない。その結果、製造業の工場が海外に逃避する空洞化が発生、貿易収支の黒字が消えるとともに、国内の雇用が失われ、追い出し部屋などが話題となる。ドルベースのGDPは、円高ですから、そりゃ上がるのですが、全然実力を反映したものでもなかったのですね。

幸い、この暗黒の時代は政権交代で幕を閉じ、日銀総裁も交替、アベノミクスの時代となり、すべてが好転したことは、国民の多くがよく理解するところ。たしかに黒田氏の掲げた目標がすべて達成されたわけでもないのですが、それでも十分すぎる回復を遂げ、その結果が、自民一強時代の到来なのですね。白川氏として、この常識化した事実認識を否定したいのはわからないでもない。でもそりゃ無理というものであるように、私には思われます。

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