長谷川良氏の7/27付けアゴラ記事「人類の『宗教性』は進化を助けた」へのコメントです。
すなわち、われわれの頭脳は自身の喜怒哀楽だけではなく、他者の喜怒哀楽に反応し、共感するという。
この「他者」って、人に限らないですよね。犬や猫の喜怒哀楽にも共感できるし、ダンゴムシが何を考えているかもおおよそわかる。「裏返しから戻れなくて慌てている」とか「必死で逃げようとしている」とかね。利根川進氏は、ネズミの脳に電極を刺してインパルスを計測する研究をされていたのですが、ある講演会で「ネズミも絶望する」と語られていました。
ネズミやダンゴムシの脳に、超自然的な現象が起こっているとも思えない。人は、自然現象にも共感することができる、偶然に生起した事物にも様々な感情を抱くことができる、と考えたほうがよさそうです。
もうひとつ面白いのは、漫画にも人は共感することができるのだが、そこにあるものは紙の上の複雑なインクのパターンであって、これを科学的に分析したところで漫画のキャラクターやストーリー、そしてそこで展開されるさまざまな感情や精神的な働きは見出すことができない。人がそれを鑑賞して初めてこれらは現れるのですね。
人間の精神は、神が創造したものであっても構いませんけど、ダンゴムシと同じように、自然に発生した偶然の産物であっても構わない。そこに他の人(あるいは自分自身)が精神的働きを見出し、共感している。そう考えれば、さしあたり未知の要素を追加する必要はないのですね。オッカムのカミソリ的には、そう考えるのが妥当であるように思えますが。
ダンゴムシは虫ではなく蜘蛛にちかい生き物