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大事にするもの:本音と建て前

シェアーズカフェ(中嶋 よしふみ)氏の8/10付けアゴラ記事「斎藤幸平『大谷は年俸一億円でいい』 脱成長理論で日本は北朝鮮になる」へのコメントです。


斎藤幸平氏も岸田総理も、じつは作戦的には正しい。つまり、著書をたくさん売ろうと思えば、より多くの人に受け入れられる主張をすべきであって、これは、内閣支持率の数字が欲しい総理大臣にとっても同じことなのですね。そもそも、「最大多数の最大幸福」が民主主義の原則ですから。

そして、これを支える「中心極限定理」という数学的な定理がありまして、ランダムな数字を足していくと、その分布は正規分布に近づくのですね。で、【平均値±標準偏差の0.6745倍】の範囲に全体の半数が含まれる。0.6745、「むなしい」数字、と覚えておきましょう。実際、むなしいですから。

ところが、それでは外れた人たちはどうでも良いか、と言えばそういうことにもならない。マイナス側に大きく外れた人が、社会福祉の対象となる一方で、プラス側に大きく外れた人は社会の競争力の源泉となる。

これは、情報は生み出すのが大変だけど、複製は容易という原理がありまして、誰か優れた人が新しい知識を得たり優れた技術をモノにしたりすれば、これを他の人がまねることは容易なのですね。だから社会はまず、こういう人を大事にしなくてはいけない。ごくわずかのトップグループの人に逃げられた社会は滅びるしかない。

そういう意味では、表向き平均ゾーンを大事にしながら、じつは、優れた人たちを温存する。そうした形に社会なり組織なりを運営することが、成功の決め手、ということではないでしょうか。まあ、中には建前が本気になってしまう人もいるのだろうが、、、

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