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目先の損得か、国家百年の計か

音喜多駿氏の8/26付けアゴラ記事「非科学的な中国政府の対応に惑わされず、毅然と海洋放出の進行と事業者支援を」へのコメントです。


中国からも大量の処理水が日々海洋放出されているという事実を、何度でも繰り返して主張していく必要があります。
国内事業者と産業の保護について適切な政府からの支援がなされるよう、海洋放出の方針を支えながら提案をしてまいります。

トリチウム自体は、半減期が12.3年と短く、化学的には自然界に大量に存在する水素と同じ挙動をすることから、生物に濃縮されることもない、比較的安全な放射性物質なのですね。しかし、今回のように、海底トンネルを掘り、大量の海水で希釈するというやり方で、トリチウムを含有する処理水の海洋投棄を許してしまうことは、ロンドン条約に風穴を開けてしまう。これが我が国の国益を損ねることがないか、充分に考えなくてはいけません。

細川政権の時代に、ロシアはウラジオストック沖合で放射性廃棄物の海洋投棄を強行しようとしたことがある。この場合は、非常事態によるものであった様子ですが、ロシアは日常的に放射性廃棄物の海洋投棄をおこなおうとしていた。これを、海底トンネルを掘れば可能にしてしまってよいのか。これは考えておかなくてはいけない。

ロンドン条約は、放射性物質の種類を規定するものではないため、たとえば、プルトニウムのような、半減期が極めて長い放射性物質も水溶性の塩にして海水に溶かして流すことができることになる。これは、難溶性の化合物で海洋投棄するよりもはるかに害が大きいはずで、何年か先に、日本海の魚類にこれらが蓄積される可能性も否定できないのですね。

政治家に必要なものは、目先の損得ではなく、国家百年の計であるはず。ここは、よく考えなくてはいけません。


参考:海洋投入(Wikipedia)もご参照ください。

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