小川製作所の10/8付けアゴラ記事「平均給与って何?:OECDデータの検証」へのコメントです。
おもしろいグラフです。特に注目すべき点は、日本の給与が1995年ごろから今日に至るまでほとんど上がらないのに対して、米国が2.5倍程に上がっている。その他の国々も2倍近い上昇を示している。これはなぜか、という問題があるのですね。一方、日本の長期チャートが示されているのですが、1970年から1990頃の日本の給与は大きく上昇し、100万円から400万円まで、なんと4倍に上がっている。これはなぜか、という点も一つの疑問となるでしょう。
で、この答えは簡単で、1970年の為替は1ドルが360円だった。それが1990年頃には1ドル120円と、ほぼ3倍の円高になったのですね。これに加えて、1970年代から80年代にかけて電機・自動車産業が国際競争力を付けて世界中に輸出して大いに稼いだということもありました。
でも、この円高は、一方で不景気を招き、このために金利の引き下げと公共投資を盛んに行った。これが国債残高を押し上げる結果となり、こういうやり方は何時までも続けておられないという認識が広がる。これが歳出削減という一つのポリシーに繋がるのですね。
でも、もう一つの重大な点を忘れちゃいけない。1ドルが100円となった1993年の米国の給与は3万ドル程度、日本の給与は400万円台で、ドルに換算すると4万ドル台と、米国の給与を大幅に上回る。この高給が日本経済を傷つけ、不景気を招く結果となりました。
これを、低金利と政府支出でカバーすることは、もはや困難。となりますと、給与水準を下げるか、給与に見合った価値の創出をするしかない。前者は、円ベースで下げることは困難ですから、為替の円安により、ドルベースの給与を引き下げることが現実的だし、後者は働き方の効率化と国際競争力のある高いレベルの技術開発に注力するしかない。解はほとんど見えているように思えるのですが、なぜこうしないのでしょうね。
お金