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キューバと日本の「他山の石」

白石和幸氏の10/13付けアゴラ記事「キューバ革命と社会主義の末路:昨年30万人が国を離れたキューバ」へのコメントです。


もうキューバに未来はないとして昨年は30万人が出国した。彼らの多くは若者だ。首都ハバナにある大学のテクノロジー学部の教授は、授業に出席する学生の数がこの2年間で30%減少したことを指摘している。同様に、首都の著名レストランでもそこで働いてくれる人を頻繁に募らねばならないという。
それが意味するのは、人口1110万人のキューバから毎年市民が国を離れているということだ。特に、それが若者の間で顕著である。その一方で60歳以上の高齢者が人口に占める割合が増加している、。それが現在21%を構成しているが、2030年には30%になると予測されている。

これ、キューバの話ではあるのですが、日本の話と微妙にオーバーラップしていますね。まあ、高齢化の方は散々語られていることですし、ハッキリ言って時間が解決する以外に打つ手なしですから、若年層の問題にフォーカスしたいと思います。

我が国から若年層が逃げ出すという問題は、主に高い能力を持つとみられる人たちに最近見られる現象で、一つは、高偏差値大学の卒業生の「人気就職先が外資系」という問題です。日本企業に優秀な人が勤めたがらない。これが一つの問題です。

もう一つ驚くべきことは、NTTの研究を請け負う子会社の技術者は3割が35歳までにGAFAなどに引き抜かれて退職してしまうということ。これに対してNTTは給与引き上げで対処するとのことですが、その他の企業だって似たようなことが起こっていることは想像に難くありません。その他にも、近年の「日本人」ノーベル賞受賞者の少なからぬ人たちが米国在住だったりする。これも、高度人材の日本脱出の結果なのでしょう。

幸い(?)このような人材移動は、能力に優れた高度な人材中心で、キューバのような全面的な国民の国外脱出には至っておりません。でも、高度な人材こそ一国の競争力の源泉なのであって、彼らに逃げられてしまったら、利益率の高い先端分野での競争に勝つことは難しくなる。ここではソリューションを議論するスペースは残っておりませんが、少なくともキューバは日本の他山の石としなくてはいけない。これだけは確かなことでしょう。

1 thoughts on “キューバと日本の「他山の石」

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