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1980年の経済戦争日本大勝利

金子熊夫氏の10/13付けアゴラ記事「ロシアとどう付き合っていくべきか:北方領土問題の経緯と見通し」へのコメントです。


そのころ私は時々モスクワに行きましたが、市民の困窮ぶりは、あたかも敗戦直後の日本の惨状を思わせるほどで、あの時が一つのチャンスだったのではないかと思います。

1980年といえば、ソヴィエト連邦が断末魔状態にある一方で、日本経済は絶好調、その集中豪雨的輸出が世界の顰蹙を買っていたころでした。たしかにこの時代はチャンス。再びこのような状況を作ることが、北方外交で勝利を収める、一つの鍵となるでしょう。そしてこのようなチャンスは、訪れつつある。条件の半分だけですが。

良い(?)ニュースは、ロシア経済が破綻の危機にさらされているということ。プーチン大統領の(今からみれば)誤った決断により、ウクライナ戦争を泥沼化させてしまった。それ以前のクリミア侵攻に始まる経済制裁が一段と強化されたことに加え、戦費の増大でロシア経済は大いに傷ついた。それが良いことであるかどうかは別として、一つの条件は成立しつつあります。

一方の日本の経済といえば、これが全然ダメ。しかしこれは致命的問題点があるからというよりは、舵取りに失敗しているからでしょう。企業経営にたとえれば、自然災害、政治的問題といった「経営外部要因」ではなく、競争に負けたとか、経営判断に失敗したといった「経営内部要因」が問題なのですね。そしてこれは、改善のし様がある。

考えてみれば、国力増強には、武力で他国を制圧する軍事的な方法以外に、圧倒的な経済力で他国を抑える経済的な方法がある。後者を狙うというのが、第二次大戦の敗北以来我が国がとってきた一貫した政策だったのですね。そして、1980年ごろには米国をはじめとする西側世界に対して、この戦いには大勝利を収めていた。それが1985年のプラザ合意でひっくり返されたのが実情でしょう。最近の円安を見れば、この効力も薄れつつある。我が国はひそかに反撃に移るべき、そういう時期に来たのではないでしょうか。

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