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情報技術が実現する霊魂と天国

岡本裕明氏の10/29付けアゴラ記事「不死は人類を幸福にするか?:『生』とは脳である」へのコメントです。


脳内で生じている現象も、つまるところは、物理法則にしたがう自然現象で、その本質は情報処理なのですから、半導体論理回路で構成した情報処理システムで同じことができるのですね。

そして、ヒトの脳のニューラルネットワークをコピーすれば、ヒトの脳と同じ情報処理ができる。実際、海馬体をコピーしたデバイスなどもテスト的に作られております。そして、こうしてヒトの脳を再現することを、カーツワイルは「リバースエンジニアリング」と呼んでおります。結局のところ、技術が進歩すればこれは可能となる。

大型のコンピュータにヒトの脳を再現し、人と同じ知覚機能と運動機能を持つアンドロイドをこれに接続すれば、そのアンドロイドは、ニューラルネットワークのコピー元の人の人格を継承することになる。ニューラルネットワークの最新状態をバックアップしておけば、不死になりますし、アンドロイドは最初から不老なのですね。そして、コンピュータのハードを増強すれば、そいつはいくらでも賢くなれる。

さらに良いことは、コンピュータ内に3DCADで世界をソフト的に作り上げる。こちらは、物理的な制約を離れた、苦痛のない、快楽に満ちた世界で、宗教家の言う天国に相当します。同じく宗教家の言う「霊魂」は、つまるところ、ニューラルネットの接続情報で、情報自体は、きちんとバックアップさえ取っておけば、ハードウエアとは別の価値となる。つまりは、知的財産の法理でいう「無体物」たり得る。これは、物理的実体である「有体物」とは独立した財産権の対象なのですね。

そうみてみますと、宗教家の主張も、結構良い線をついていたことになります。ただ惜しむらくは、ヒトのニューラルネットの読出しが困難であること。仮にそれができても、読出しと保存、実行にはかなりのコストがかかることになる。まさに、地獄の沙汰もカネ次第、であるわけです。

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