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通貨高政策が招く、経済の破綻

中村仁氏の12/18付けアゴラ記事「大規模金融緩和を修正しても経済停滞は止まらない」へのコメントです。


「脱デフレを実は円安誘導で実現しようとしたに違いありません」というのはその通りなのですが、デフレの原因は景気停滞にあり、景気停滞の一つの原因が行き過ぎた円高であるわけですから、この政策は正しい政策なのですね。政府がなぜそう言えないかといえば、為替レートを政策的に誘導したなどといえば、国際的な非難を浴びる恐れが多分にあるからです。

現在のアルゼンチンをはじめ、タイに始まるアジア通貨危機や、ポンド危機、ギリシャの債務危機など、多くの経済的危機が発生して国民は大いに傷付いた。これらに共通する原因は、行き過ぎた自国通貨高であったということに気付かなくてはいけません。

アルゼンチン経済にダメージを与えたのは、2002年の兌換法で、インフレを止めるために1ドル=1ペソの固定相場としたのですが、アルゼンチンの国力にはペソは高すぎた。兌換法は、一時的にインフレを止め、国民生活を安定させたものの、貿易赤字を拡大し、一国の産業を破壊し、兌換法それ自体の継続を不可能にしてしまったのですね。

タイの通貨危機もドルとバーツの交換比率を一定に保つドルペッグ制が実力以上のバーツ高を維持した結果だし、ポンド危機は、ポンドの基軸通貨としての地位を意識して無理なポンド高を維持しようとした結果だし、ギリシャの危機は、通貨がユーロでドイツなどの経済的強国に引きずられた結果のギリシャには不似合いなユーロ高の招いた結果だったのですね。

自国通貨高は、物価安となり国民生活には好ましいし、ドル建てGDPは上がって見栄えもよいし、通貨当局のプライドもくすぐる。だけど、国内産業の国際競争力を弱め、貿易赤字を拡大し、一国の経済を破壊に向かわせる。ポピュリスト政権や国民受けを狙う評論家には好ましいけれど、その結果が先行き何を招くかは意識しなくてはいけません。ここは、国力に不似合いな生活を志向するのではなく、まず技術力を高める方向で国内産業の競争力を高める、国力増強の面から国民生活の安定を追求すべきところでしょう。そういう意味では、急速に進んだ情報技術にキャッチアップして生産性の向上を図るべき、という処方箋は全く正しい。これは確かです。

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