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失われた30年を止める黒田路線

中村仁氏の2/3付けアゴラ記事「日経『私の履歴書』で知る財務省OB『日銀・黒田と五輪・武藤』の優劣」へのコメントです。


黒田氏の10年間、異次元金融緩和による財政ファイナンス(日銀の国債購入)の結果、国債発行残高は未曾有の規模となりました。国債の利払い費は27年度に15・3兆円(24年度は9・7兆円)と膨張します。さらに極度の円安で日本のドル建てGDPはドイツに抜かれて世界4位に転落しました。結果をみれば「壮大な失敗」と言えます。

ドル建てGDPは、為替レートでどのようにも変わる。為替レートは経済状態を必ずしも反映するわけではなく、金利政策や地政学的要素も影響しているのですね。で、ドイツ経済はどうかとみれば、製造業を中心に不振が続く一方、我が国は絶好調、とまでは言えないにせよ、好調であることには変わりなく、春の賃上げに期待が高まり、株価もバブル時代の高値に迫っております。

たしかに、国債発行残高だけを見れば、我が国の先行きは暗いようにも見える。政府を企業なり家庭なりにあてはめて考えれば、借金が膨れ上がれば、先行きは心配になる。しかし、政府には徴税権もあるし、中央銀行には紙幣発行権もある。国の経済の健全性を判断するのは、一国全体の収支で考えなくてはいけないのですね。

つまり、日本全体で生み出している価値と、日本全体で消費している価値の差額が一国全体の収支ということになる。前者はGDPで、後者は消費の総額(給与総額を預貯金投資などの増減を調整したもの)ということになります。ドル建てGDPが増えても、ドル建て給与が増えて消費が増えてしまったら、何の意味もないのですね。

ここに大きく作用する因子が為替レートで、円高になるとGDPの増加以上に消費が増える、円安になると消費の増加以上にGDPが増える。今の日本は1985年以来の円高による経済不振から回復する過程にある。「失われた30年」というのは、つまり、そういうことなのですね。向かうべき方向は、ハッキリしております。

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