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「マトリックス型組織」の勧め

森本紀行氏の2/20付けアゴラ記事「人を支配する企業が滅びて対等な人のコミュニティーになるとき」へのコメントです。


ここで想定されている「産業組織」は、ピラミッド型の旧来からある組織形態を前提に考えられているのではないかと思いますが、最近では、これとは異なる組織形態も広がっております。

以下は、コンピュータ犯罪を取り締まる目的で結成された米国の組織"FCIC"を描写したブルース・スターリングの“The Hacker Crackdown: Law and Disorder on The Electronic Frontier”(今岡 清訳:ハッカーを追え, 1993年出版)からの一節ですが、その組織形態は上に書かれたものからは、相当に隔たっております。(英語版は、“Ad-hoc”でサーチすると該当箇所が最初に表示されます)

シークレットサービス,FBI,国税局,労働省,連邦検察局の各支局,州警察,空軍,軍の情報部といった FCICの常連は,しばしば自前でアメリカのあちこちで会議を開く.…

ここ数年,経済評論家や経営理論家は,情報革命の波が,全てトッ プダウンで集中管理される固定的なピラミッド型の官僚制を破壊するだろうと考えている.高度に訓練さ れた「被雇用者」は,より強い自律性をもって自身の判断と動機によってある場所からある場所へ,ある 仕事からある仕事へと非常なスピードと柔軟性をもって動いていくだろう.「特別委員会」がルールとな り,組織の枠を超えて自発的に人々が集まり,直接問題に取り組んで,コンピュータによって支援された 専門知識をそれに適用し,やがて元の場所に戻っていく.

このような組織形態は、米国のコンピュータ犯罪対策に限らず、あちこちで見ることができます。Wikipediaや、Linuxなどのフリーソフト開発もそうですし、私が関与したところでは、情報記録ドライブとそれ用の媒体関係企業の間でも、似たような「特別委員会」があちこちに作られておりました。社内でも、一部門だけでは手に負えないトラブルが発生した際などに特別委員会が作られているのですね。

この手の特別委員会、企業の各部門への人材派遣要請というものもあるのですが、個人の能力ベースという色合いも強く、関係する人にとっては己の力を磨こうというモチベーションにもなる。上の書物は1993年の出版ですが、今日の情報技術を活用すれば、もっと幅広く使えそうです。つまり、社内の種々の業務も同じようにやればよい。簡単な話だと思うのですが。

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