コンテンツへスキップ

これからが難しい日銀金融政策

岡本裕明氏の3/8付けアゴラ記事「ふつふつとわき始めた日銀利上げへの牽制球:生活に影響するという甘えた声」へのコメントです。


日銀が3月、ないし4月の政策決定会合で金融政策の正常化に踏み込むのではないか、と報じられています。多くの専門家は4月の正常化予想が主流が占めます。理由は現在のインフレ傾向が一時的ではなく、恒常的と考えるほど長くなってきたこと、それを踏まえ日銀が利上げをするのにきっかけを探しており、そのタイミングとして植田総裁は春闘の結果を選んだのであります。

インフレ=悪という見方が根強いのですが、これまでわが国はデフレに苦しんでいたのであり、デフレの反対であるインフレは、行き過ぎない限り、さほど悪いものでもありません。特に、このところの為替レート(円安というよりドル円の正常化)故に生じているインフレであるなら、この為替レートを維持するためにも、受け入れるべきなのですね。

インフレを抑制するための経済政策変更が必要になるのは、景気の過熱故の極端なインフレ、先高観による買い占め買いだめの発生、あるいはこれを可能とする過剰流動性等が生じた場合であり、その一つの対抗手段として金利引き上げがあることは確かです。でもそれしかないわけでもなく、政府に働きかけて増税してもらう手もあれば、日銀保有資産の売却という手もある。

金利をゼロより大きな一定の水準に保ちたいという、動機が日銀にあることは確かでしょう。でもこれは、自らの政策のフリーハンドを保つという、ある意味で自分本位の考え方であり、国家国民のためというわけではない。むしろ、ここでの金利引き上げが円高を招くようなことがありますと、せっかく正常に戻りかけた日本経済が、また元の暗黒時代に逆戻りとなってしまいます。

今は、失われた30年を終わらせる得難い機会なのですね。このチャンス、無にしてはいけません。今現在、ドル円は147.15付近と、急速に円高に向かいつつある。シカゴ日経先物も39,200円あたりまで下げてきている。一つ間違えればすべてをぶち壊しにしかねない。それが今という時であると思います。ここは、関係者の慎重な対応を望みたいところです。

1 thoughts on “これからが難しい日銀金融政策

コメントは停止中です。